Biotope Journal Weekly vol.5 魔都 プログラマーはブンカ系(2012.11.11)
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Biotope Journal Weekly
vol.5(2012.11.11)

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こんばんは。退屈ロケットのスガタカシです。
先週のメールマガジンはえー…と、そうそう。中央アジア、キルギスのオシュという街からウズベキスタンのタシケントに向かっている最中でした。
でも、それがはるか昔のことに思えるくらい、この1週間はハプニングが多数発生。流れ流れて僕たちは、いまはもうウズベキスタンとは、あらゆる意味で、ぜんぜんちがう場所にいます。
そんなぼくたちの近況につきましては、(今回、ちょっと長くなってしまうので)アフタートークでお伝えします。

さて、Biotope Journal 第5週目は「魔都・プログラマーはブンカ系」の文斌(ウェンビン)。
「中国屈指の大企業で働く若手プログラマー」と聞いて、上海の夜の街を、すこし緊張しながら会いに行ったのですが、待ち合わせ場所で迎えてくれたのは、拍子抜けするくらい気の優しい(ゆるすぎる)ブンカ系男子。
彼の飾らない(そのくせへんなTシャツは飾ってある)部屋や、バナナとのツーショット写真はWebの方に掲載しております。

それでは今週も、どうぞお楽しみください!

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■ Biotope Journal リポート #005|周文斌
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上海は、言わずと知れた、世界有数の大都市だ。中国の経済的中心にして、およそ中国らしからぬ都市。
歴史ある中国において、上海が歴史の中での存在感を大きくするのは、ずいぶんと現代に近づいてからだ。19世紀のアヘン戦争*後に港が開かれ、各国の租界*が形成される。そもそものはじめから、ここは世界各国の文化が集まる、混沌とした場所だった。夜の街では華やかさがゆらめき、「魔都」と呼ばれもした。そんな時代が歴史の一部となった今、しかし上海はますます現代的な発展を遂げて、力強く脈打っている。
けれども中心部から少し離れると、いかにも「今の中国」らしい町並みもちらほらと見えてくる。庶民的な店や家が立ち並んだかと思えば、その裏手に、さほど高級そうではなく、でもやたらに背の高いマンションが突然立っていたりする。ただ上海では、それらの隙間の闇の中に、どこか妖しい独特の香りを、時折感じる。
そんな一角の3LDKマンションに、会社の先輩ふたりとルームシェアをして暮らすのが、一年目の会社員である周文斌。同居人たちも、嫌な顔ひとつせず招き入れてくれた。

◆ふたり目の子どもとして

文斌の出身は、安徽省の合肥*。省の都で、もちろん大きな街ではあるけれど、でも上海に比べればもちろん、それほどでもない。科学技術にかかわる大学が複数あり、彼もここの安徽大学*で学んだ。上海に出てきたのは、大学院に入るときだ。
故郷には両親と、姉がひとりいる。こう言えば、ごく普通の家族構成に見える。けれどもよくよく考えると、これはけっこう珍しいことだ。ここは中国。中国の家族政策といえば、一人っ子政策だ。でも彼には姉がいる。
実は中国でも、子どもを二人以上もつことは、できる。そのために必要なのは、罰金だ。子どもを生んで、めでたいはずの出来事について罰金を払わなければいけない、というのも、日本人からすればずいぶんと奇妙な話に聞こえるけれど、でもとにかくそう決まっている。彼の両親はどうしても男の子が欲しかった。それで、「罰金を払ってまで」彼をもうけた。
「何千元だったかな、とにかく大きなお金です」と彼は言う。そんなに深刻な顔をして語るというわけではない。けれども、彼がそのことについて両親に感謝しているのは、よく伝わってくる。安徽大学から、復旦大学*の大学院。やっぱり相当勉強したんですか、と尋ねると、にこにこして「努力しました」と答える。とても控えめに。でもだからこそ、ああ、めちゃくちゃ頑張ったんだろうな、という印象を受ける。むやみな謙虚さではなくて、地道にやりとげたことへの、静かな自負。


◆好きで「い続ける」こと

好きなことは、写真を撮ること、小説を読むこと。とてもシンプルだけれど、奥が深い。得意なことは聞きそびれてしまったけれど、そのひとつは「好きでい続けること」かもしれない。このふたつは、ずっと昔から、彼にとっての大切な趣味だ。
小説を好きになったのは、小さい頃に『レ・ミゼラブル』*を読んでから。中国語では、『非情世界』という。それ以来少しずつ、色々な小説を読んできた。彼の本棚には、『西遊記』*『ファウスト』*それから『白夜行』*。でも全体として、本の数はそう多くない。何もかもの値段が急激に上がり続けている中国だけれど、そのなかでも、本の値段は本当に高くなっているのだという。だから彼は、図書館に通う。
他になにか、これは高すぎるから安くなって欲しいなというものはありますか、と尋ねる。「それは、何もかももっと安いほうがうれしいですよね」といって彼は笑う。もちろん、世界中の人が同意するだろう。でも彼の場合は、特に、たとえば、カメラとか。
写真を撮るのが好きになったのは、高校生の頃。だけど特に、好きな写真家がいるとか、ある一葉の写真に衝撃を受けただとか、そんなこれといったきっかけがあったわけではなかった。彼を取り巻く世界のさまざまな人やもの、その大切な瞬間を切り取っておけるから、彼は自然と、写真に惹かれていった。
親戚のお兄さんのカメラを使わせてもらったりもしたけれど、今彼は社会人になって、使えるお金もある。初めてのボーナスで買おうと考えているのは、Canon EOS 6D*。立派な一眼レフだ。


◆学び「広げる」こと

残業の日もあるけれど、仕事のあとには大学に行くことが多い。復旦大学は彼の家のほど近く。誰もが参加できる公開講座も、よく催されている。彼の専門は理系だったけれど、そこでは文化的な講座に出ることが多い。音楽についての講座も好きだし、大学ではコンサートが開かれることもある。彼は音楽やミュージカル*も好きだ。
彼にとっての大学とは、「社会人になるために通過していくべきところ」というわけでは、決してなかった。ひとたび好きになった大学は、もちろん、卒業してからも好きなままだ。知らない世界がまだまだあるのに、そこから遠ざかってしまうわけにはいかない。だから彼は、機会を見つけてはそこに通う。単位の取得は終わっても、学ぶことは終わらない。今も希望に満ちた新入生のような気持ちで、きっと彼は、少しずつ新たなことを学び続ける。新たな世界にいきなり飛び込むのではなくて、今ある自分の世界を、丁寧に、納得しながら、広げていく。

好きな旅行のしかたにも、そんな姿勢があらわれている。今までに訪れた場所は、中国各地の街ばかり。同じ国の中の、少し異なる文化の、違った景色。それらをしっかり見て回り、時折シャッターを切る。
行ってみたい外国は(「外国」というべきかはむずかしいけれど*)台湾。それから、日本。もちろんヨーロッパにも興味はあるけれど、いきなり飛行機でまったく違う場所に飛んでしまうのは、彼の性分に合わないのかもしれない。順を追って、少しずつ。ここの続きの、知らない場所へ。


◆「これは景色とは呼べない」

彼の仕事は、プログラマー。所属する携帯電話会社は、国内最大手のひとつだ。でも彼はべつに、プログラミングが好きだった、というわけではない。かといって嫌いでもない。ふつうです、と彼は言う。でもプログラミングはともかくとして、新しいものを作って多くの人に伝えること、というのは好きだ。
カメラマンという職は考えなかったか、と尋ねてみる。ちょっとだけ、と彼は答える。でもちょっとの割には、写真を学べる学校についての話をしてくれる。中国の学校ではどうしても、技術だけを学ぶことになってしまう。でも僕は心を学びたくて、そんな大学がアメリカにあるんだけど。でもとてもお金がかかるから。

ずっと上海で今の仕事を続けよう、とは思っていない。じっさい彼は、上海に対して不満も多い。都会はたしかに便利だけれど、道路は渋滞するし、地下鉄は混む。この部屋なんて、21階という見晴らしのよさそうなところにあるのに、窓からの眺めはひどい。「これは景色とは呼べないです」と手厳しい。この部屋に来たばかりのころ、彼は窓を開いてカメラを構えたことだろう。様々な方向にカメラを向けて、焦点を合わせてみる。それからため息をついて、彼はシャッターを切らずにカメラを仕舞う。マンションの足元を、けたたましい音を立てて列車が通り過ぎる。

いずれ故郷に帰りたい。自然のある景色が好きだ。でも何より大切なのは、両親が年をとったら側にいてあげたい、ということ。でもそれは、彼の世界を狭めることにはならない。身近なことがらを大切にし続けることこそが、彼の世界を広げてきたのだから。きっとこれからも、それは同じ。


◆写真のような、生き方で

彼の机にある、今までに撮影した様々な写真。美しい景色もあれば、友人や家族の写真もある。
なるほど、彼の生き方は「写真そのもの」みたいだ。注意深く身近なものごとを観察して、美しさやおもしろさを拾い上げて、それを切り取っていく。けれども写真の中には、撮影者の姿は写らない。彼のくらしもそんな風だ。自分を飾り立てることには、まったく頓着しない。洋服は、実用的なら十分だ。部屋の飾りつけも、ほとんどない。
だけどもちろん、撮影者の想いは、きちんと写真にあらわれる。同じように、彼の想いは、彼を取り巻く世界のあり方に、きっとあらわれている。目の前の人に気を配り、大切にすること。ひとたび好きになったことには、しっかりと向き合って、じっくりと取り組んでいくこと。彼のそんな姿勢が、素朴な世界を美しくしていく。

そしてまた彼の世界は、新しいレンズをひとつずつ、手に入れていく。世界の切り取られ方は、少しずつ変わる。より遠くを見つめることもできる。より広くを一度に見つめることもできる。けれどもカメラの「本体」は変わらない。バナナを食べる姿だけでなく、カメラを愛することもよく似合う、心やさしい文斌青年は、いつも変わらずここにいる。


文・金沢寿太郎

Web "Biotope Journal" 文斌(ウェンビン)編
http://www.biotopejournal.com/tags/Wenbin

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■ 今週の参照リスト
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《脚注》

◆アヘン戦争
1840年に清朝とイギリスの間で起こった、貿易をめぐる問題に端を発する戦争。輸入超過状態にあったイギリスは、その解消のためにアヘンを多く中国に密輸出したが、この悪影響に対し清朝が反発して貿易に制限を加えるなどし、やがて戦争に発展した。

◆租界
アヘン戦争は南京条約によって終結を見たが、これにより劣勢の清朝は多くの不平等条約をイギリスに対して結ぶこととなる。これに列強諸国は追随し、条約の中で認められた開港地に居留地を定めた。上海租界においてはアメリカ・イギリス・フランスが土地を租借し、のちに日本人居留者も増えて事実上の租界を形成した。

◆合肥
長江と淮河の間・安徽省の中央にある省都。地理的に上海に近い。その歴史は古く、合肥の地名はしばしば歴史に登場する。三国時代には魏と呉の間で「合肥の戦い」と呼ばれる大規模な戦いが行われた。

◆安徽大学
合肥市は中国の教育科学基地に指定されており、その中心的な名門総合大学。特にコンピューター応用技術の研究が盛んで、これは文斌の専攻でもあった。

◆復旦大学
中国屈指の名門大学のひとつ。上海に広大なキャンパスを持ち、100年以上の長い歴史を持つ。45000名以上の在校生を抱え、40の国家重点学科を含む幅広いカリキュラムを持つ。

◆レ・ミゼラブル
フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの、世界的に著名な代表作。一本のパンを盗んだばかりに長い獄中生活を送らねばならなかったジャン・ヴァルジャンの生涯を、19世紀前半のフランスの歴史的状況を背景に描いた作品。世界各国に翻訳されるばかりでなく、ミュージカルや映画、テレビドラマ化も幅広く行われている。

◆西遊記
明代に成立した、玄奘三蔵のインド行をもとにした伝奇小説。中国では四台奇書のひとつに数えられ、今もなお一般によく知られる古典の傑作である。日本ではテレビドラマや漫画など数え切れない作品が影響を受け、またオマージュを行っている。

◆ファウスト
ドイツの文豪ゲーテの代表作である、長編戯曲。黒魔術師とされたファウスト博士の奇妙な伝説を基にし、ゲーテは一生をかけてこれを戯曲に昇華した。伴って多くの作曲もなされ、今もなお広く世界中に知られ、上演される作品である。

◆白夜行
東野圭吾によるヒット小説(1999)。映像化は、日本のみならず韓国においてもなされた。中国では、書店に日本小説の翻訳本コーナーがあれば、村上春樹に次いで必ずといっていいほど東野の作品がある。

◆Canon EOS 6D
2012年12月に発売予定のCanonの一眼レフカメラ。軽量でありながらフルサイズの撮影素子を搭載している。彼は以前、お兄さんの一眼レフカメラを借りて使っていたことがあるが、今はコンパクトデジカメのみで写真を撮っている。購入することが叶えば、EOS 6Dがはじめての自前の一眼レフカメラ。入門的な一眼レフであれば5万円前後で購入できる昨今だが、2012年11月11日現在、「価格.com」によれば発売前の日本の最低価格はレンズキットで \259,126。彼の情熱が伺える。

◆ミュージカル
彼が興味を持っているのは『CATS』。1981年ロンドン初演、世界的に成功を収めたミュージカルである。中国各地でも公演を知らせる看板を見られるが、彼はまだ生で観劇したことはないのだという。なお、中国におけるこの広告には大きな文字で「猫」と書いてある。意味としてはまったく正しいが、なんだか非常に奇妙な印象を受ける。

◆台湾
中国政府は台湾の中華民国を国家として認めておらず、台湾は中国の一部であるという態度をとっている。したがって、中国人の台湾旅行は特別な許可を必要とし、やや難しいとされている。この問題は今もって繊細であり、中国の入管審査等でガイドブックをチェックされる場合に、掲載されている地図で台湾が中国と同じ色に塗られていない、などの理由で没収される場合もある。


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■ 旅日記【ロケットの窓際】 005 上海
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 鉄道は長距離、地下鉄は都市内。中国では、こんな役割分担がはっきりしている。主要な都市には近年になって猛烈な勢いで地下鉄が張り巡らされ、まして上海ともなるとどこへ行くにも苦労しない。ルートや乗り場のつかみ難い路線バスにわざわざ乗らなくとも、路線図まで出てくる券売機を操作して切符代わりのカードを買い、さっと地下鉄に乗ってしまえばよい。面倒なのは、改札を通るたびに課せられる荷物検査ぐらいだ。

 とはいえ、この荷物検査の有効性も、まったく怪しいものだったりする。時折荷物検査を免除されることがあるのだが、その基準はまったく判然としない。こんな大荷物を抱えた怪しげな二人組の旅行者など、真っ先に隅から隅まで調べ上げてやるべきなのに、だ。

 またあるときには、ねちねちとしつこく調べられる。相方はカメラ関係の機材をたくさん抱え込んでいるから、そういうことが特に多い。様々な質問を中国語でされるのだけど、なにしろそれは中国語だから、〈ああ、こいつは何か質問をしているのだな〉ということがかろうじてわかるに過ぎないし、それはほとんど何もわからないのと同じだ。そのうち係員同士が何事か話して笑い合い(若い女の子だったりする場合が多い)、それから〈もう行ってよろしい〉という仕草をする。散々時間ばかりをとられて、結局何ひとつ調べられていない。あまりに暇だから、荷物検査を利用して暇つぶしをしているようにしか見えない。甚だ迷惑なことである。



 さて、そうして乗り込む、その地下鉄。複雑な路線を乗り継ぐことは、しかし、東京に育った我々にはお手のものだ。ただ問題は、景色が見えないことにある。地下鉄なのだから当たり前だが、旅行者にとってこれは大きな問題だ。新しい街に着くやいなや、その鉄道駅からすぐに地下に潜り、うねうねと移動して地上に上がれば、すぐ近くには宿がある。これでは、いったい自分がどんな街にやってきて、どんな距離感覚で移動しているのか、ということがさっぱりわからない。僕らが、間抜けなもぐらのようにキョロキョロしながらひょっこり顔を出したのは、上海の中心からやや離れた、大通り沿いではありながら、裏手には庶民的な暮らしがそこここに残っているような場所だった。僕らの宿はそこにあった。

 なるほど、これが上海。とてもふつうだ。それどころか、まるで東京にいるみたいだ、と思う。道路の幅や歩道の幅、街路樹の並びかた。まるで日本のようだった。

 歩道の幅は、人々の歩きかたを決める。人々の歩きかたは、時の流れかたを決める。時の流れかたは、街の雰囲気を決める。そんなわけで、ぼくは最初から、宿の周囲のこの付近に親しみを感じることになった。初めての街なのに、自分が今歩いているんだ、ということをさほど意識せずに、あたりを歩き回ることができる。見知らぬ場所での緊張感、いちいち意識しなければ呼吸ができないような苦しさが、ほとんどない。

 取材の日程のこともあり、結局このあたりに、ぼくらは一週間ほども滞在することになった。ひとつところに腰を据えて、とりあえずの毎日のサイクルが決まり、ありあわせの生活のようなことを営むのは、旅が始まって以来初めてのことだった。宿の付近は静かだし、少し繁華街まで足を伸ばせば何でも手に入る。物価が高いのが玉に瑕だけれど、それにしたって日本に比べればとても安い。

 ある程度の期間を滞在すれば、行きつけのような店もできてくる。僕らがよく利用したのは、「鮮肉月餅」を売る店だ。月餅というのは日本でもよく知られた中国の伝統的な菓子で、大切な縁起物でもある。ちょうど中秋節(十五夜)を控えた時期で、街のそこここで売られていた。日本人がイメージするような小豆餡を詰められたタイプのものは「広東式」と呼ばれる。

 それに対して、この鮮肉月餅というのは「蘇式」と呼ばれ、その名の通り中に肉が入っている。なるほど、蘇州は上海の近くだから、これだけあちらこちらで売っているのだ。店によってばらつきはあれど、どこでも一個あたりわずか三、四元。その中に、少し値段は高いのだけど、毎日地元の人々が行列をなしている店があった。何食わぬ顔で列のお尻にくっつき、試しに買って食べてみると、これがとても美味しい。薄皮の中に肉汁たっぷりの肉餡が入っていて、まるで中国風のミートパイのようだった。僕らは飽きもせず、日々これを食べ続けた。



 上海では、どこへ行っても見慣れた商品や店の看板を目にすることになる。セブンイレブンやローソン。サントリーのビール。ソニー、パナソニック。その中でも、たくさんのコンビニにでかでかと販促用の広告が貼られていて驚いた、日本の誇る先端技術のブランドがあった。ブランド名は「オカモト」。コンドームである。

 「岡本」と漢字で書いてあるものだから、最初に目撃したときには何のことだかよくわからなかったが、よくよく見てみると「世界で一番薄いです!」などと日本語で書いてある。で、その下には「岡本透薄安全蓑」とある。安全蓑!

 考えてみれば、中国のコンビニでは、かなり目立つところにコンドームが置かれていることが多い。日本で言えば「からあげクン」なんかのあるベストポジションを占拠している場合すらある。なるほど、一人っ子政策の関係上、これは非常に重要なことなのかもしれない、などと妙なことに感心しながら、上海の日々は過ぎていく。そろそろ二週間のノービザ滞在期間が終わってしまう。香港に〈脱出〉するべき時が迫っていた。

〈続〉

文・金沢寿太郎

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■ アフタートーク【ロケット逆噴射】 005
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スガ
北京が終わって今週は魔都・上海。
なわけですけれど、その前に、僕たちは今何処にいるのかという話をすこし。
先週はキルギスのオシュからお届け。アフタートークはまだ中国の国境近くの街、カシュガルでした。

寿太郎
うん。山奥にいたはずなのに、今はなんだか海が見えますね。とても心地よい眺めだなあ。

スガ
日差しがポカポカするね。

寿太郎
日中はそんな感じですね。カモメなんかも飛んでいてのどかである。

スガ
ここの屋上にでると海がワーッと視界に広がってカモメが飛んで、バカンス感がすごい。となりに女の子でもいたら完璧なんだけど。

寿太郎
まったくですね。なんでよりによってこいつと、というのはお互いさまなのでなしにしましょうか。

スガ
なしでおねがいします。

寿太郎
町並みなんかもヨーロッパ的で。

スガ
アジアは海の向こうに霞んでおります。

寿太郎
と、いうことはですね、ここはどこでしょうね。

スガ
ぼく実はよく知らないんだけど、『飛んでイスタンブール』って曲があったんだよね。

寿太郎
ぼくもよくは知りませんけど。生まれる前の曲でしょう。

スガ
その曲名のまんま、この旅始まって以来はじめての飛行機に乗って、「飛んでイスタンブール」なわけですよ。

寿太郎
うん。まあ、飛行機はできる限り使わず、という方向ではあったけど、のっぴきならない事情がありましたのでね。

スガ
どういう事情なのか、わかりやすく説明していただけますか。

寿太郎
では担当者のワタクシから。

スガ
おねがいします。

寿太郎
僕らシルクロードを抜けるために、キルギスを通過してウズベキスタンにおりました。

スガ
はい。

寿太郎
中央アジアの難しいとこは、とにかくビザ取得が面倒くさいというとこなんですよね。でも我々はウズベキスタンビザは日本で取得してあったと。

スガ
出発前の8月、暑さに朦朧としながら大使館に行った記憶がおぼろげに…。

寿太郎
ところが、色々予定が延び延びになって、30日あったはずのウズベキスタンビザは、ウズベキスタンに入ったときには残り数日になっちゃってたんですね。ウズベキスタンビザは取得時に出入国日が限られてしまうので、こういうことになる。
と、いうわけで、ウズベク入りした途端に隣国のビザを取って移動するなりしなきゃいけなかったわけです。具体的には、カザフスタンやタジキスタン。

スガ
難しいので皆さんできればここでお手元の地図をご参照ください。

寿太郎
うん。ウズベキスタンのタシュケントという首都は、カザフやタジクに近いんです。それで僕らは、さっさとそこらのビザを取って移動しようとしました。すぐに取れるという情報がありましたしね。

スガ
ありましたね。即日とか翌日とか。

寿太郎
と こ ろ が 。

スガ
と こ ろ が !

寿太郎
そう。ところが散々迷いながら大使館に行ってみると、やれシステムの不具合だ何だ、一週間待てだのもっと待てだの言われる。そんなん、待てませんよ。待ってるうちに、ウズベキスタン不法滞在になってしまう。

スガ
タジキスタン大使館がテクニカルトラブル。カザフスタン大使館は一週間。ウズベキスタンビザ延長はできたとしても3日が限度。でしたっけ。

寿太郎
そんな感じです。過去にうまくいった例は、ネット上含めていろんなところであるんですけど、僕らの場合はその3パターン全部ダメ。最悪のケースにはまってしまったという感じ。

スガ
3つも方法あれば、さすがにひとつくらいはいけると思ってたんだけど。

寿太郎
俺もそう思ってました。いやあ、厳しい。シルクロードの洗礼。
今回はほんとに何もかもうまくいかなくて、こりゃシルクロードに呼ばれてないなと思いましたね。

スガ
とくに寿太郎くんはシルクロード行きたかったわけだし、残念だったよね。

寿太郎
サマルカンド、ヒヴァ、ブハラ、行きたかったなあ。ま、人生は長いのでいつか、ということで。

スガ
ウズベキスタンでは85歳の日本人バックパッカーにも出会ったしね。毎日からだを鍛えてがんばってください。

寿太郎
あんなの無理ですよ、あのおじいさんは異常だって。波紋法の使い手かもしれない。

スガ
老化は波紋でやわらげる!
毎日2キロ泳ぐって言ってたし、たぶん呼吸の仕方からちがうよね。

寿太郎
だって耳遠くなってるんだよ。もうこっちは、叫ぶように喋らないと聞こえない。それなのにバックパッカーやってるっていうんだから、凄まじいよあの方は。

スガ
口をもぐもぐふがふがさせながら、小さなリュックひとつでどこでもいきそう。
まったく堂々としたものだったよね。
ああそれから、 これからタジキスタン大使館に行こうという日の朝ね。
寿太郎くんがビザに必要な写真を撮ってくるというから僕がホテルで作業しながら待ってたら、なんか血だらけになって帰ってきて。

寿太郎
www
スガ
「おいスガやばい」って言うから顔をあげたら、寿太郎くんが血まみれで、なんか顔が変わってた。

寿太郎
いや、ほんとにヤバかった。このマヌケな経緯を言うとですね。
観光モードでキョロキョロしながら歩いてたんだけど、一方で早く大使館行かないといけなかったから早足だったんですよ。

スガ
うん。

寿太郎
そしたら横断歩道の入り口に、横断歩道の入り口にですよ、ピアノ線かっていうぐらいめちゃくちゃ細いロープが、膝下ぐらいの高さに張られていたわけですよ。なんの意味もなく!!
こういうのを「罠」っていうんですよ。完全に不意をつかれた感じで、顔面から道に突っ込んでしまいました。こんな下手くそな転び方したの、小さい頃に銭湯で転んで前歯折ったとき以来ですよ。
鼻と上唇の間が思いっきり傷ついて、前歯で上唇の裏側思いっきり突き刺してしまって、漫画みたいに血を吐く格好になってしまった。阿鼻叫喚とはこのこと。

スガ
罠かぁ。土管が転がってたりマリオのトラップみたいなの多いけど、あの時はきみ、もうちょっとでゲームオーバーだったよね。

寿太郎
まあ、歯や骨が折れなかっただけよかった。瞬間、完全に前歯ポッキリいったかと思ったからね。

スガ
その日以来、寿太郎くんのため息の回数が通常の3倍くらいになった気がします。

寿太郎
坊やだからさ。

スガ
・・・・・・。

寿太郎
いや、ほんとに、骨は折れなかったけど心は折れました。複雑骨折ですよ。

スガ
怪我とビザトラブルで複雑骨折。

寿太郎
ほんとにね、あんまりそういうの信じないけど、とことん運気が悪かったですね。ウズベキスタンは。

スガ
きみ香港でもそんなこと言っていなかった?

寿太郎
香港もよくなかった。そういう「流れ」みたいなのはけっこうある気がする。

スガ
とにかく寿太郎くんは毎日お祈りするとか風水やるとかして運気を呼び込んでもらわないと。寿太郎くんのため息はなかなかやるせない。

寿太郎
名前のわりにかなり不吉な感じになっておりますからね。
隣に運気を吸い取る奴がいるんじゃないかと思っている今日この頃。

スガ
あー、それはあるかもねぇ。寿太郎くんがあんまりへこんでたりすると、あーぼくのせいかな、とか時々思いますよ。

寿太郎
へこんでる原因はきみにはないけど、イライラする原因が君にある場合はかなりありますね。

スガ
あーw

寿太郎
タシケントを出る日はびっくりした。

スガ
え?

寿太郎
なんと君が予定通りの時間に出発の準備を済ませていた。この旅始まって以来の椿事でありました。

スガ
ああw そういうこともあるんじゃない。でもこんどは、飛行機が予定通りの時間に飛ばなかった。

寿太郎
スガみたいな飛行機もあったもんだな。ロシア航空には二度と乗るまいと決めました。

スガ
でもあの飛行機が欠航したおかげで、今までで一番いいホテルに泊まれたし、ルフトハンザ航空にも乗ることができたし、まぁよかったんじゃないですか。
サンクトペテルブルクやフランクフルトにもいけたし。

寿太郎
結果オーライというかなんというか。しかし突然フランクフルトに行くとは思わなかった。
ルフトハンザ航空は最高ですね。あれはロシア航空が用意してくれた代替便だったけれど、素晴らしかった。
ここぞとばかりに、機内サービスでドイツビール飲みまくってやりました。

スガ
機内でビールが出てきた時のきみの喜びっぷりと言ったらすごいものでした。機内食もうまくて、いきなり寿太郎くんが上機嫌にw

寿太郎
なんかまるでアホだな、そういう表現されると。

スガ
けっこう単純なんだよきみ。

寿太郎
まあでも、そういうもんです。食べ物大事。おいしいと幸せ。これ人間の大事な基本ですよ。
ぼくは単純なんじゃなくて、基本を大切にしているわけです。

スガ
そうですか。

寿太郎
きみはむやみに斜に構えるところがあるからね。どっちもどっちなのではないでしょうか。

スガ
ふーん。ま、そういうことにしておきましょ。
で、話は戻るけど、24時間以内にウズベキスタンのタシケント、サンクトペテルブルク、フランクフルトをちょんちょんと飛び石みたいにとんできて、それでイスタンブールに到着ですよ。

寿太郎
そうですね。

スガ
まだ暗い時間に着いたんだけど、朝になって朝ごはん食べに屋上に上がったら、
目の前にいきなり海がひろがってめまいがしたよ。意味がわからなくてもう、笑うしかなかった。

寿太郎
まあ確かに、いきなりすぎる感じはありましたね。
こないだまで不毛の土地で砂漠から流れてくる砂にまみれてフラフラしてた感じだったのに、いきなり小奇麗でお洒落な、海を臨む街ですからね。

スガ
ココは何処だ! ワタシは誰だ! ってね

寿太郎
そこまで言うか

スガ
いやぼく、ほんとうにびっくりしたんだよ。屋上に出て視界に海がバーッと広がった時のあのショック、なんていうんだろうな。
寒くなってきたなぁ、もうクリスマスも近づいてきたなぁって思っていたら、いきなり梅雨明け宣言がきたというような。

寿太郎
俺はまあ、そういう宿だってわかって予約してたから、別に「へえ、なるほど、すごいな!」てなもんでしたけどね。
まあでも、季節感覚は狂うね。

スガ
季節感もそうだけど、「うわ、いきなりヨーロッパきたよ!」っていう。

寿太郎
感興もクソもないですな。
アジア側から満を持してという感じで、ボスフォラス海峡を船で渡りたかったですよ。

スガ
うん、きみは徐々に、って思ってたわけだしぼくもそのつもりでいたけど、とつぜんのヨーロッパ感。
ぼくはあれはあれで、心を揺さぶられたかな。
ぜんぜん予想していなかった分、おもしろかったですよ。

寿太郎
「移動」の感興はなにもないけど、ここの「景色」に対してはそりゃあ、感動しましたよ。驚きという感じはそこまでではないけれど、なんというのかな。
まあ、詳しくは何週かあとの旅行記にて。

スガ
いや「景色」に対して、ていうだけじゃないんだけどね。

寿太郎
いやわかりますよ。

スガ
まったく期待していなかった、予定調和的でない驚きというか面白さというか。
ぼくはあんまり「旅」っていうイメージに思い入れがないからかもしれないけど。
言ってしまえば「裏切られたのが心地よかった」ということかもしれません。自分でも、おもわず笑っちゃう感じ。

寿太郎
まああれですよね。そりゃ君は、次に行く街のことから宿のことから、なにひとつ把握しませんからね基本的に。
次に行く街の名前を前日に覚えるというレベル。

スガ
はい、どうもスミマセン。

寿太郎
やれやれ。で、まあ近況はそうとして。

スガ
はい。BiotopeJournalは上海。今週はウェンビンでした。
彼はなんというか、バナナ男子。

寿太郎
ひどいカテゴリ分けだな。

スガ
あんなにバナナを食べる姿が似合う男、なかなかいないよね。ほんとうにいいやつで。

寿太郎
いいやつだった。
しばしばバナナを食べているスガくんも見習うべきだね。

スガ
インタビュー中も、バナナやらりんごやらお茶やら次々に勧めてくれて。会話そっちのけw

寿太郎
中国人は基本的にお客さんを丁重にもてなす文化があるけど、彼の場合はそれに加えて彼自身の細やかさがある感じでもてなしてくれたよ。

スガ
うん。とても優しくて、細やか。撮ってる写真も繊細な感じで、彼の人柄が滲んでた。
でも部屋とか服とかはおしゃれさのかけらもなくてね。

寿太郎
なんか機能重視という感じでしたね。

スガ
そのガッカリ感がたまらない。

寿太郎
ガッカリw

スガ
彼のことを語るのにガッカリ感は欠かせないよ。
優しくていいやつで、センスもいいんだけど、たぶん自分の持ち物とか部屋とか、そんなに興味がないんだよね。

寿太郎
ま、ガッカリという言葉に語弊があるとアレですけど、そういうことですね。

スガ
自分がいいと思うものは自分の外の世界にあって、それを大事に観ていたい、という事なのかもしれない。
彼女ができたらすごく大事にしそうな感じ。

寿太郎
しそうだね。彼女に限らず、人を邪険に扱うようなとこは想像できない。
インタビューのあと一緒に飯食ったけど、色々お母さんみたいに世話を焼いてくれた。

スガ
火鍋食べたんだけど、タレはこれがおいしいよ、とか野菜はいらない? とかね。
反日デモのこともすごく心配してくれたんだよね。

寿太郎
そうそう、インタビューのあともメールで、くれぐれも気をつけてと。
ほとんどの中国人は親切だけど、なかにはおかしな奴もいるから、みたいに言ってくれた。
ナイスガイです。

スガ
うんナイスガイです。ってそれ彼の言葉じゃなかった?

寿太郎
Eくんという、僕ら中学の頃からの共通の友人が彼を紹介してくれたわけなんですが、
あとでEくん曰く、我々のことをナイスガイだねと言ってくれてたようだと。

スガ
うれしいことです。それにしても彼はほんとに写真が好きだった。
おもしろいなと思ったのは、彼の写真、とても繊細なんだけど、色彩感覚は日本人とはすこしちがう気がして、鮮やかな朱が、画にパッと入ったりしているんだよね。そのあたりが観てて新鮮でしたよ。
休みの日は晴れていたら大学に写真を撮りに行くと言っていたから、彼が写真撮りに行くのについていってみたかったな。

寿太郎
線路の上歩いてる、女性ふたりの後姿のやつなんか好きですね。

スガ
あれ、彼も一番のお気に入りだって言ってた。

寿太郎
その女性はとくに彼の恋人というわけでもない、という残念さも含めて好きですね。

スガ
そうそう!
残念さと言えば、インタビューに同席してくれた彼の友達の女の子に「インタビューだからってカッコつけたこと言ってんじゃないわよ!」みたいに言われてるのがすごくいい感じだった。

寿太郎
通訳してくれたあの女の子ね。彼女も親切な女性だったけれど、何がおもしろいって、彼女もなんというか、そこまで他の人に厳しくツッコミを入れまくるようなキャラクターには見えないんだよね。
だけど彼に対しては、そうせずにはいられないという部分があるように思えた。

スガ
そうそう。それでツッコまれるウェンビンも、そんなにイヤそうじゃない。
あのふたりのやり取り、よかったな。なんというか、親密なかんじがしたよ。

寿太郎
付き合っちゃえばいいのにね(適当)

スガ
というわけで、Biotope Journalはまだしばらく中国ですが、ぼくらはもうイスタンブールで取材中。
それで、トルコをすこしまわったあとは東欧、西欧かな。

寿太郎
そういう感じになりますね、順番的には。
それにしても、これからどんどん物価が高くなっていくのがアレですね。

スガ
あー、そうだよね。ヨーロッパだから。

寿太郎
取材にはどうしても、ただの貧乏旅行にはかからない予定外の支出が多くなるしね。

スガ
宿にネットがないとちょっと困るしね。

寿太郎
そう。wifiが確実につながる宿じゃないとプロジェクト上困るので、国によってはかなり宿探し難航します。単に最安値のとこ泊まりゃいい、とならないのが辛い。にしても、基本的にドミトリー住まいだけどね。

スガ
あー、正直これほどドミトリーばかりとは思わなんだけど、まぁWifiさえ使えるなら、べつに文句はないですよ。
宿探し、いつもおつかれさまでございます。

寿太郎
いや、まあ宿探しは楽しいから別にいいんですけど。wifiさえってのも国によっては贅沢な話になっちゃうのがね。ウズベキスタンとかね。

スガ
ウズベキスタンのネットはかなりきびしいものがあったね。
回線が従量制なのか、すぐにストップするし。宿の人には「ファイルのダウンロードはするな」とか言われたし。

寿太郎
それに引き換え、ホテル・ウズベキスタンは凄かったですね。さすが四つ星ホテル。

スガ
あー、ホテル・ウズベキスタン! ぼくらの一押しホテルですね。

寿太郎
そうそう。実に快適なホテルだった。部屋の中がどうなのかは知らないけど!

スガ
あのホテルはATMがそこにしかないというからお金をおろしに行ったんだけど、ロビーのWifiがもう、「どなたでもどうぞお使いください」状態で。
なかなか軽快で快適なインターネットタイムでした。ソファもふかふかだったしね。
というわけで、おすすめですホテル・ウズベキスタン!

寿太郎
少なくとも、ロビーはおすすめですホテル・ウズベキスタン!
なんかウンコ臭くないですか。

スガ
え?

寿太郎
ぼくら今ドミトリーの中にいるわけだけど
他のベッドで寝てる誰か、もらしたんじゃないかww

スガ
えええええええ!?
ぼくはあんまり臭わない気がするけど、きみの隣の上の人? いま急に?

寿太郎
そう。あ、なくなってきた。屁だったのかね。

スガ
ああ、そしたらぼくの屁かもしれないな。

寿太郎
・・・・・・。君さ。

スガ
あれ? いまうんこ臭いぞ。ぼくじゃない。

寿太郎
ほらきた。誰だーーー!!

スガ
きみさ、ってナニ言おうとしたの。

寿太郎
人の真下で屁をこくなと。

スガ
ああ、ベッドだもの。屁くらいするよね。
でもたしかにちょっとうんこ臭くなってきた。

寿太郎
俺はマシになってきたが、寝グソをかました奴がそのへんにいるのかもしれない。

スガ
そうですね。また来週。

《アフタートークのアフタートーク》
寿太郎
ひどくねwww

スガ
ああ。これはひどい。

寿太郎
クソまみれのメルマガ。

スガ
しかたないね。

寿太郎
やれやれ。

…………………………………………………………………………………………………

編集後記:退屈なしめくくり

というわけで、突然トルコに降り立った僕たちですが、Biotope Journalはもうしばらくのあいだ中国編。中国でもまだいろいろな人が出番を待っておりまして、そして再来週あたりはすこし変化をつけて、いつもと違ったものをお届けする予定ですので、どうぞおたのしみに。雰囲気がぐっと変わるトルコ編は、いましばらくお待ちください。

いつの間にか、日本との時差は7時間。日本は日曜日の22時半過ぎだけど、こちらは日曜日の15時半ぎ。朝から作業していたので、そろそろお腹が減りました。
ここの名物のひとつにサバサンドがあるというのだけど、今のところ見かけるのはケバブ(肉)系サンドばかり。おそめの昼ごはん、今日はサバサンドでも探しに行こうかな。

スガタカシ


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