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配信日:2013/07/15
【高円寺電子書林】2013年7月号をお届けします。



 ◇ kouenji-denshishorin - vol. 014



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 ・・・高円寺

 ・・電子書林

 ・2013 文月

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 活字本にまつわるしごとをしてきた本好きなメンバーがあつまって、2011年10月に創刊した『高円寺電子書林』。
 ライター、編集、校正、流通、新刊と古本の販売など、それぞれの経験を活かして、あらたな読み物を無料のメールマガジンというかたちでお送りしています。

 *公式ツイッター : http://twitter.com/densho_k




 contents..............


【エッセイ】
ラグーナ(干潟)という場所 1
精神科病院から出版社へ
──森越まや


【レポート】
自分の家で電気をつくる

◆ お話の前に。
──原田直子(西荻電力新聞発行人)  
◆「ベランダ発電」、やってます!
──菅沼陽子  
◆ 我が家の「野沢ひまわり発電所」レポート
──室田元美  


【コラム】
ツキイチジャーナル
花がなくてもサクラはサクラ
……BOOKDAY とやま に参加して
──北條一浩


◎イベント情報


【編集後記】


 .............. contents





 ◇ kouenji-denshishorin - 2013 fumizuki





・エッセイ・
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ラグーナ(干潟)という場所 1

精神科病院から出版社へ
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森越まや



◇……ラグーナ出版ができるまで

 私は今、鹿児島市にあるラグーナ出版で働いています。以前は、精神科病院で精神科医として働いていました。今でも週に2日は病院に勤務しています。
なぜ病院から出版社へ転職したかといいますと、ラグーナ出版は精神障碍体験者とともに働きながら、本を刊行していくために設立された会社だからです。

 始まりは病院のデイケアで、患者さんたちと始めた本作りでした。2006年の春の日、勤務先の病院で、仕事の途中に3階にある図書室に行くと、精神保健福祉士の川畑(現・株式会社ラグーナ出版社長)と、当時統合失調症で入院していた竜人(仮名:リュウト)がひそひそ話に夢中になっていました。
 「なになになに?」
 「これすごいよ」

 そのメモには、竜人が脱出しつつある幻覚妄想の世界の戦いの断片が記されていました。のちに『霊界大戦』として、世に出る作品の草稿です。
 「すごい小説だねぇ」と川畑。
 「小説ではありません。実際に起こったことです」と竜人。

 竜人はその頃、「現実」とは異なることでも確信を持って信じてしまう「妄想」の世界の中で、絶え間なく襲いかかる声(幻聴)と生死をかけた戦いをひとまず終えたところでした。彼は、その始まり、統合失調症の発症体験を次のように記しました。

 「それは、忘れられない1日だった。私はその時、アイデンティティ、誇り、家風、仕事を全て失った。今でも私は覚えている。自分を否定する声や轟音が起こり、部屋がわずかに揺れたことを。すべてを否定する何かが私におこったことを」

 のちに竜人は、この闘病を「平和な日本で戦争を体験しました」と話します。
 精神病は命に関わる病気です。

 今ここにある、自分の足元が崩れ落ち、世界が消えていく恐怖。その世界の終わりの際〈きわ〉から拾い上げた言葉は、祈りのような気迫に満ちています。竜人だけではなく、私たちの想像できない過酷な世界を生き抜いている体験者の言葉は、「病」を超えて、生きることの本質を貫くように感じられました。

 精神科医としての一番の業は、幻覚妄想など自分が体験できないままに、その苦しみと戦っている方々に向き合わなくてはならないことです。
 今、ここで苦しんでいる人の心に届くのは、体験のない者の専門用語ではなく、同じ体験をした人の言葉だと思います。

 「今、病気と闘っている方々に自分たちの体験を伝えよう、体験を言葉にして生きる力に変えよう」と病院内で呼びかけると、多くの方々が集まり、思わぬ方たちまで、書き始めました。

 東京で出版社に勤めていた川畑の経験を生かして、私たちの本作りが始まりました。日本の社会には、精神病に対して歴史的に重ねられてきた偏見があります。家族の引き取りもなく1人で暮らすことは難しいと考えて退院をあきらめる方も多くいます。退院して働きたいと思っても仕事を見つけることは簡単ではなく、職種もごく限られたものです。このような現状の中で社会とつながりたいという皆の思いが、「病院の外に出よう」「売れる本を作ろう」「いいことをして新聞に載ろう」などの合い言葉になりました。

 集まった作品の1つ1つからは、障碍を抱えながらも今を誠実に生きようとする書き手の心が伝わってきました。こうした作品を集めるだけでも意味があると考え、年3回の雑誌の発行を決めました。

 雑誌のタイトルを病院の仲間に公募したところ、100近い応募があり、厳正な審査の結果命名されました。苦しみも喜びも担っている(かもしれない)シナプス(神経細胞間の伝達部)と回復の象徴である笑いを組み合わせた「シナプスの笑い」。この名には、皆の回復への願いと社会で生きることへの思いがこもっています。

 あれから8年、私たちの本作りは3年間のNPOでの活動を経て、株式会社ラグーナ出版となりました。皆で活動するうちに、本作りを仕事にしてお給料を払いたいと考え、会社設立に至りました。

 現在、株式会社ラグーナ出版は、障害者総合支援法の就労継続支援A型事業所として認可を受け、現在30名の精神障碍体験者を雇用し、共に働いています。
社名の「ラグーナ」は、干潟の意味です。役に立たないとされて埋め立てられる干潟ですが、実は陸になったり海になったりしながら多様な生物を育み、海水を浄化する場でもあるのです。一見不毛と見られる場所にこそ、心の問題を解く鍵がある、そのような思いを込めて命名しました。


◇……風の歌を聴きながら

 ラグーナ出版から刊行した『風の歌を聴きながら』の著者、東瀬戸サダエさんと私たちの出会いは、シナプスに送られてきた投稿の短歌でした。「スイートピーの 花に小蜘蛛が糸を張る 生きねばならぬ 生きねばならぬ」というこの歌は、切れない糸のように私たちを繋ぎました。彼女は、統合失調症を発症して45年、22年間の入院の後に療友と2人で住むことを決断して退院。その生活と共に生きた人々の姿を温かな視線と短歌で綴ったこの本を、私たちは最初の単行本と決めました。

 「現代の棄民と言はるる障害のわれ二十二年を鉄格子に生く」「籠り泣く 部屋もなければ ひたぶるに ただひたぶるに大地を歩く」と詠った入院生活から退院して20数年。切り詰めたつつましやかな生活を「王侯貴族のよう」と喜び、世間に感謝し、「風の歌 幾春秋を唄いつつ 残りし生を抱きしめるなり」と詠います。「統合失調症は私の財産、人生とは最後まで生き抜くこと」「たった一度の人生だから」と、今、彼女は太陽のように周囲を明るくしています。

 この本には、私が最も敬愛する中井久夫氏(前神戸大学教授)が書評を寄せてくださいました。
 「統合失調症を『私の財産』にしたのは、真珠を真珠貝が作るに似た命の営みだと感じてしまう。病気は人を豊かにすることもあるのだ」と。


◇……勇気をくれた言葉たち

 2009年、編集部で「自分たちを救ってくれた言葉、勇気づけてくれた言葉」というテーマの座談会を開き、その内容を「シナプスの笑い」12号に掲載しました。

 座談会の中で、入院中、退院後に周囲の人からかけてもらった心に残る言葉を語り合ううちに、全国の読者からも言葉を募りたいという話になりました。呼びかけに応じて、多数の投稿をいただきました。原稿用紙にかかれた言葉、手紙やメモの言葉もあり、特に入院中の患者さんからいただいた投稿には、手書きの文字と文字の間に悲しみや喜びがあり、切なさとともにこちらが勇気づけられました。今もおりに触れては読み返しています。
 その中から2つの言葉をご紹介します。

『宝子じゃ』俊之介(仮名・40代・男性)
 「私が無職の時、父が亡くなり、母と一緒に父をみとった。その時、親戚の90歳になるおばあさんが、『仕事をしていなかったから、お父さんを最後までみとることができた。俊之介しゃんは宝子じゃ』と母に言ったそうだ。
 僕自身、過去に短いながらも働いた経験はあるが、親を大切にすることができて、うれしかった。今、母と二人暮らしだが、親孝行したいと思っている」

『アメリカに行こう』ウナム(仮名・40代・男性)
 「再入院の時、叔父にかけられた言葉。1回目の入院は、『何かがおかしい』と思い、内科を受診したら精神科病院に入院。病気が治ったという感じはなかったが、三ヶ月後退院。しっくりしない中、家族は退院を祝ってくれて『働けるなら働こう』とか『学校に行けばいい』とか励ましの意味で声をかけてくれた。その後、学校に行ったが、胸が苦しい感じが一向に治まらなかった。
そんな時、伯父さんが家に来て『準備はできたか?』と声をかけられ車に乗り、その後に続いて言われた言葉。精神科病院に行くことは薄々感じていたが、アメリカの広大な大地を想像し、苦しみから解放されると思い、抵抗なく入院することができた」


◇……統合失調症体験事典

 竜人はラグーナ出版の社員、「シナプスの笑い」の編集長として執筆を続け、2012年9月、自らの体験から病気を定義した『統合失調症体験事典』を刊行しました。これは、「幻覚」や「妄想」など、257の現象を、竜人自身のことばでとらえ直したものです。

 たとえば、
 「間:人間同士の境界線。健常者は『あいだ』を保つのが総じてうまく、お互いに触れ合い、離れたりしながら自分という空間を保っている。躁うつ病になると『あいだ』は消失する。躁状態では、変になれなれしくなり、プライベートなことをずけずけ言い、うつ状態になると、他人に対して無抵抗な自分が生まれる。また統合失調症になると『あいだ』の中に幻覚や妄想といった侵入者が現れ、『あいだ』に亀裂が入る。この社会で生きるには『あいだ』がキーワードだ」


◇……ラグーナのこれから

 年3回刊行の「シナプスの笑い」は2013年6月には20号を迎え、全国から投稿が寄せられるようになりました。今では投稿作品を読み、選出し、入力、校正と印刷に出すまでの全ての工程を皆でできるようになりました。

 20号を迎えて、私たちはもう一度本を作り始めたころの志にもどりたいと思いました。私たちの原点は「自分たちの体験を力に変えよう」「今、苦しんでいる方々、精神科病院に入院している方々に言葉を送ろう」ということでした。
 現在日本の精神科病院には、33万人の方々が入院しています。日本中の入院の方の4人に1人は精神科の患者さんという数です。平均入院日数は330日、精神科病院で半生を送る方もいらっしゃいます。入院生活の日々に少しでも希望があればと願っています。

 竜人は、著書『世界は何かであふれている』の中で、こう書きました。「誰もが人生の中で一度は戦わなくてはならない。私も統合失調症と向き合い自分の運命と戦ってきた。作品を読んで自分を慈しんでほしい」。
 病の困難さを理解できないまま、精神科医としてその病に向き合わねばならない私自身の迷いは続きますが、体験の深淵を理解できないなら、せめてその戦いと平和に立ち会いたいと願っています。

 そしてこれからも、みんなで本を作っていきたいと思っています。
 私たちは、病の有る無しにかかわらず、幸福につながる仕事をしたいと願っています。そこで2010年と今年の春、長い間心にあったブータンを旅してきました。次号は、幸せの国ブータンの旅を書きたいと思います。




森越まや(もりこし・まや)
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精神科医として大学病院、関東の医療少年院を経て埼玉、東京、沖縄、鹿児島の精神科病院に勤務。現在は、株式会社ラグーナ出版の福祉サービス管理者。
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◎株式会社ラグーナ出版
2008年鹿児島市に設立。メンタルヘルスに関する図書の刊行、製本、装丁、本の修理、印刷業務などを行っている。また障害者総合支援法に基づく多機能事業所として精神障碍者の自立訓練、就労移行支援、就労継続支援A型事業を行っており、現在社員30名が精神障碍体験者である。働くことで回復し共に成長する会社を目指している。
*ラグーナ出版ウェブサイト http://www.lagunapublishing.co.jp/




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・レポート・
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自分の家で電気をつくる

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◆ お話の前に。

──原田直子(西荻電力新聞発行人)  


 自分の家で電気をつくる。
 私は東京・西荻窪に住んでいるのですが、ご近所の方で、ベランダ発電を始めた方がいます。また、家で「野沢ひまわり発電所」(!)というものをもっている人も知っています。何をきっかけにどんなふうに自家発電をしているのか、それぞれ書いていただきました。イントロとして、私たちが地域で行った電力関連のイベントについての小文を付けたので、ここから読んでみてください。

 1冊の本はひとをうごかすおおきな力をもっている。そのことを信じて「本」にかかわってきました。信愛書店というちいさな町の本屋で本を仕入れ、棚に並べて気づいたら40年近くになります。本の魅力は失せてはいないけれど、次々と立ち現れるネット世界の幻影に惑わされて、読者のほうも変わりつつあるのは時代の流れとかんがえて、2006年に茶房 高円寺書林というブックショップカフェを開店しました。本に対する恩返し、のきもちで本にかんする展示・販売そしてトークイベントを企画しています。

 春先にある編集者から、とても面白い本だから、といわれたのが大月書店の『市民がつくった電力会社』でした。
 おじさんおばさんたちがとびきりの笑顔でそろって腕組みをしている、大月らしくない表紙デザインがまず目を引きます。南部ドイツのシェーナウ市は黒い森に囲まれた人口2,500人のちいさな町。そこの住人による草の根エネルギー革命の記録、正確にはまだ進行中の「希望のストーリー」(帯文より)、ドイツ在住のジャーナリスト田口理穂さんによる生き生きとしたレポートです。

 1986年、チェルノブイリ事故を契機にごくふつうの町の住民であった人々が自分たちで原発に頼らないエネルギーの実現に向けて動き出した貴重な記録、いまやドイツ全土に広がる市民電力の先駆けとしての真摯な活動は、まさにドラマそのものです。

 またそのドキュメンタリー映像もあることから、6月1・2日の西荻チャサンポー(西荻を「茶散歩」してもらうイベント)に合わせて大月書店と信愛書店の共催で、ゲストを交えて2夜連続の上映&トーク会を開催したのです。初日は神奈川の「藤野電力」(注☆)から鈴木俊太郎さん、2日目は武道館ソーラーライブを行ったバンド、シアターブルックの佐藤タイジさん、そのもようはカフェブログ(http://kouenjishorin.jugem.jp/?eid=2115)に紹介いたしましたので、ごらんください。

 一連の本のイベントにかんしては『市民がつくった電力会社』の田口さん、そして同じく大月書店刊『自然エネルギー革命をはじめよう』の著者高橋真樹さんにひとかたならないお世話になりました。また編集者「鰯」さんのおかげで「本」のちからをあらためて教えていただきました。本からうまれたたくさんの出会い、読者を巻き込む物語がこれからさらに広がりを見せてくれそうです。

 その後に市民電力を実践しているグループが練馬区やたま市にあることがわかり、情報を発信するための『西荻電力新聞』を発行したり、また練馬区の「元気力発電所」という店名のリサイクルショップを運営しながらエコ発電の実現を進めているNPO法人エコメッセのメンバーお招きして「電力お茶会」という名の交流会を開くなど、ぼちぼち活動しています。『西荻電力新聞』は気まぐれに発行されるので、興味のある方はカフェブログ(http://kouenjishorin.jugem.jp)または twitter @kouenjishorin をチェックしてください。西荻地域の防災・地域交流にもぜひ活用したいという声があがっているので動きが具体化するかもしれません。

 上映会やお茶会には様々な人が来てくださいました。参加してくれた方の一人、ご近所の菅沼さんは、自己流でパーツを組み立てて30Wのソーラーシステムを実際に利用しているということがわかり、身近なところでの実践にみんなおどろきました。

 その菅沼さんに「ベランダ発電」を行うまでのことを寄稿していただきましたので、まずはご紹介します。次に、本各的な家庭用ソーラーシステムを導入している室田元美さんに、レポートを書いていただきました。


【注☆】
藤野電力は、自然や里山の資源を見直し、 自立分散型の自然エネルギーを地域で取り組む活動をしているグループ。http://fujinodenryoku.jimdo.com/




◆「ベランダ発電」、やってます!

──菅沼陽子  


 気づけば、ベランダ発電を始めてもう半年。
今では夫婦2台のiPhone、iPad、iPodの充電は、
30Wのソーラーパネルからバッテリーに充電した電気を使うことが多くなっている。

 3.11以降、自分にできることはないかと模索する中、
デモに行くのもいいけれど、私は大勢で行動するのが苦手だったり、
冷え症だから寒い中で長時間歩くのもしんどい……、
というただのナマケモノでもあり、悶々とした気持ちを抱える日々。

 そんな去年の12月、大好きな坂口恭平さんの『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』(太田出版)という本で、
路上生活者の人がソーラー発電をしている例が載っているのを見て、
「これだ! 私もこれをやりたい!!」と思い立つ。

 やると決めたらジッとしていられない。
仕事帰りに秋葉原に通っては、電気の仕組みなんて直流と交流の違いも分からぬまま、
ソーラーパネル、アダプター、バッテリーなんかを捜しまわった。
結局、お店で買うと付属品とセットで勧められて高くつきそうだということで、
必要最低限と思われるものをネットで購入。
2万円弱で全て揃えたと思う。

 3階建てマンションの2階である我が家のベランダへの設置は、
こだわり派の旦那さんに手伝ってもらい、ネットで調べながら配線を繋げる作業。
配線を繋げてスタンドライトが初めて点いた時は
「わぁ〜! 本当に点いたぁ!!」と大はしゃぎだった。
コンセント以外の電気なんて使ったことがなかったし、何より理科の実験みたいで
心からワクワクして楽しかった。

 日本では電力会社が選べない。
コンセント以外の電力を手にいれて、大きなものにどっぷり依存していることに気付きながらも、
何もできない生活に無力さを感じていたのが、ほんのちょっとだけ自由になって、
心が救われた気分だったのだと思う。

 その後、自然エネルギーの事を知りたくて、2月には下高井戸で「シェーナウの想い」(監督:フランク = ディーチェ/ヴェルナー = キーファー)の自主上映会にも参加。
この映画はドイツの人口2,500人程の小さな街の市民が、10年もかけて電力会社をつくったドキュメンタリー。
自ら行動を起こし、自然エネルギーへの移行を勝ち取っていく、エネルギッシュで自立した市民の姿はとても素敵だった。
『市民がつくった電力会社』も読んで、
日本とドイツは何が違うのか、エネルギー政策や、民主主義についても考えるきっかけをもらった。

 ベランダ発電のいいところは、お天気がさらに有難く感じるところ。
電気代は、最近陽射しが強くなってきて発電効率が高いのか、
5月は先月より500円安くなっていた。
あまり厳密な性格ではないので、節約になっているかは正直わからないけど、
手作りの電気って楽しいな、という感覚でやっている。

 うちのマンションは風の通り道だから、風力発電にも興味が出てきているところ。
この先、ベランダ発電する人が増えて、そんな話を知り合いと情報交換できるようになったら楽しそうだな〜


菅沼陽子(すがぬま・ようこ)
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30代、元保育士、只今のんびり中。
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◆ 我が家の「野沢ひまわり発電所」レポート

──室田元美  


 おそらく、世界一小さい、東京都世田谷区野沢の、たった2人できりもりしている「野沢ひまわり発電所」。フツーの中年夫婦(夫と私)が、屋根に太陽光パネルをのせて今年1月から太陽光発電所を始めたばかり。「太陽光発電って、ちょっと興味あるけど、どうなの?」という方のために、きょうはそのレポートをお届けしましょう。アナタも発電所、始めたくなるかも。


 夫はもともとケチ、もとい、エコ意識のなかなか高い人である。たとえばテレビを見ていないときは主電源からちゃんと落とす。夏でも最高気温が35℃を超えるまではクーラーを入れず、いい汗(?)をかく。真夏の午後、外から見ていてどの部屋も窓が開いているのはうちぐらいだ。そんなヤツなのでタダで使える自然エネルギーを見逃すはずがない。
 太陽光発電も、ずっとやりたくてたまらなかった。とくに3.11の福島原発事故以降は、太陽光発電なら東京電力への依存度を減らせるとか、CO2の削減のために本気で考え始めたそうだ。(たんなるケチではないことを、夫の名誉のために言っておく。)しかし、悲しいかな、初期費用に約200万円かかると聞いて半ば諦めていた。うちは3.11後に耐震も兼ねてリフォームしたばかり。これからローンに追いまくられるのに、ない袖は振ろうったって振れぬ。

 ところが、2012年9月。世田谷区の広報紙(新聞にはさんである、あれです)を見ていた夫が、うれしそうな顔で飛んできた。世田谷区長、保坂展人氏が少し前から「世田谷ヤネルギー」というのを推進しているという。

 妻も読んでみたが、なかなかよさげに思われた。まず、区が認定した施工業者が工事を請け負う。これまでの太陽光発電では、施工業者との間のトラブルの多さが問題になっていた。太陽光発電に注目が集まるにつれ、あまり経験のない業者などが多数参入してきたせいらしい。
 さらにローンを地域の信用金庫で組むことができる。これも大手ではなく地元の顔が見える金融機関を応援したい夫には大きな魅力だったようだ。

 そして、コスト面でも、これまでにないお手頃価格のプランが提示されていた。区と施工業者が組んで、太陽光パネルだけではなく、土台までも規格化する、また材料は太陽光パネルメーカーとして実績のあるシャープのもの。最新型ではないが、ロットの多いものを使うことでコスト削減に成功したという。それってジェネリック薬品や、人気の32型テレビが安いのと同じ? 

 というわけで、世田谷区そのものの補助はないのだが、区と施工業者、金融機関、メーカーがタッグマッチを組んだおかげで、それまで相場200万円といわれていたものが120万円ほどで入手できるようになっている。いい仕事してますなあ〜、世田谷区!
 さらに、国から7万円、東京都から30万円弱(期間限定だったため、残念ながら現在は行っていないようだ)の補助金を受けることができたので、実際は80万円ちょっとで、夫が熱望していた太陽光パネルを、とうとうわが家の屋根にお迎えすることができたのだ。

 施工業者さんが下見と打ち合わせに2度ほど来られ、今年1月の終わりには15枚の太陽光パネル(面積にして3.5m×3m)が屋根に設置された。キッチンにも、どれだけ発電しているかが数字やグラフから一目で分かるタッチパネルが据えられ、それまでは「ふーん、太陽光? やりたいなら別にいいわよ」と志の低かった妻も、おもしろがってチェックしている。よく晴れた日は、ぐんぐん発電力が上がり、妻は「きゃー、すごい。売ってる売ってる。これって儲かってるってことよね」と、どこまでいっても志は低い(笑)。

 参考までに、いちばん発電量の多かった5月を例にあげてみよう。東京電力の領収書を見ると、発電量(売電量)は250kWhで、1万500円分の電気を売ったことになる。消費量(買電量)は60kWh、1,727円。梅雨どきでも7,000円分を売ることができた。わが家の太陽光パネルは真南ではなく南東向きにつけるしかなかったので、あまり発電量は見込めないかと思っていたのに、予想以上の大収穫なのである。

 太陽光発電にかかった80万円を支払うために月8,000円の10年ローンを組んだのだが、毎月ローン分を払ってもおつりが来る。「万一、ローンを払い終えるまでにパネルが壊れたらどうするんじゃ〜?」
 と妻が夫にたずねたところ、15年間の保証期間があるらしい。だったら安心かな。

 しかし、太陽光発電で実感したのは、自然エネルギーのありがたさだ。ぎんぎら真夏の地獄のような太陽が、パソコンやテレビ、クーラー、洗濯機を動かすエネルギーになってくれるのだから。災害時には売電分を自家用に切り替えられるのも便利だ。そしてもうひとつ、自分たちを縛っていたものからの解放。これまで電力会社に生命線をにぎられていたことを考えると、電気を作ってまかなえるいまの生活は、なんと自由なことだろう。「東電さん電気足りてる? 売ってあげよーか?」世界一小さな発電所でさえ、この心意気である。

 太陽光発電を始めて3ヶ月ほどたった頃、施工業者さんから、「コンテストに応募してみませんか?」と案内をいただいた。どれだけたくさん発電して、使用量を抑えるかを競うというものだ。うちも参加することにした。エントリー方法は簡単。5月分の電気料金の領収書を郵送するだけだ。

 登録用紙は夫が書いた。名前はさんざん迷ったあげく「野沢ひまわり発電所」と、これも夫がつけた。妻に「なに、その保育園みたいな名前は〜」とバカにされながら。「野沢ひまわり発電所」ははたしてコンテストでどんな成績をおさめるだろうか。結果が出たころに、また報告したい。ちなみに妻にとって結果はどうでもいいようである。「成績良かったら、なにかもらえるのかな〜」と、それだけを楽しみにしている。


室田元美(むろた・もとみ)
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ライター。兵庫県生まれ、東京都在住。女性雑誌のライターやFMラジオ番組の構成作家のかたわら、ライフワークとして戦争世代の聞き取りを続けている。
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・コラム・
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ツキイチジャーナル 2013/07

花がなくてもサクラはサクラ
……BOOKDAY とやま に参加して
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北條一浩




 さる6月23日、富山市で開かれた本のイベント「BOOKDAY とやま」に行って来た。富山では初の試みになる「一箱古本市」(注☆)とトークイベントを組み合わせた催しで、開催はこの日1日のみ。このトークのゲストとしてお招きいただいたのである。
 呼んでくださったのは、富山市内で古本ブックエンドを営んでいる山崎有邦さんと石橋 奨さん。山崎さんは金沢市でオヨヨ書林、石橋さんは高岡市で上関文庫と、それぞれ別の店舗もやっていて、そのお2人が富山市で共同経営しているのが古本ブックエンドだ。
 一箱古本市は当初の募集枠を超える応募があり、予定より少し拡大しての展開。トークイベントにも60名ほどの方がいらして、拙い話に耳を傾けてくださった。


 会場になったのは富山市民プラザで、建物前の広場で一箱古本市が、3階のAVプラザでトークショーが、それぞれ行われた。トークは17時からだったけれど、自分も普通に客として古本市をのぞきたかったので、午後1時ごろには会場に着いて、あれこれ物色したり、古本市周辺の出店でカレーを買って食べたり。梅雨の真っ最中で、前日はひどい雨だったということだったけれど、この日は晴れ間がのぞいて、善き哉、善き哉。基本、晴れ男、なのです(やや自慢)。


 「そう遠くはないな」とアタリをつけたら、知らない町に来た時には、タクシーに乗ってみるのが楽しみの一つ。東京を離れて思うのは、地方のタクシーの運転手さんには、制帽をキチンとかぶっている人が多いことだ。東京の人はたいていかぶっていないけどね。その違いはなにが原因なのだろう?
 で、その制帽というのが、どういうわけかアタマの大きさに合っていない人が多いような気がする。細身でちょっとブカブカの人(なぜかその姿を見ると、私はいつも、故・横山やすしを思い浮かべてしまう。あの人が競艇の帽子をかぶっている時の感じだ)か、ガッシリしていて、とりあえずアタマに乗っけてます、という具合の人が多くて、今回は横山やすしのほうだった。
 「市民プラザまで」とお願いすると、「ああ、きょうはあそこに人がいっぱいいますなあ。あれは何ですか?」という内容のことを、富山の言葉でおっしゃった。説明すると「へええ、そういうの、いろんな町でやってるんですか、はああ」と感心したような、でもさして興味がない様子で答え、そしてそのあと、いろいろこちらから富山のことについてお聞きした時のほうが、はるかに舌は滑らかになった。


 「いま、富山駅、工事してますでしょ? 北陸新幹線です。あれが完成したら、東京のほうからは来やすくなりますよ。でも、逆に関西からのアクセスは悪くなるらしい。どんな理屈ですかね」「ここ、富山城があったとこ。今は城址公園になってます」「路面電車が気になりますか? 帰られる時にお乗りになるといいですよ。ちょうど駅まで行ってますから」「道が広い? そうですか? こんなもんじゃないですか? クルマが少ないからじゃないかな。毎日乗ってますから、考えたことありません」。


 それぞれの「店」をひやかし、カレーを食べ、見知った顔の幾人かとご挨拶し(東京からいらした人も!)、それでも17時にはまだ間がある。前日、ほぼ徹夜で原稿を書いていたので眠くてしょうがなくて、でも、ホテルのチェックインが15時なので、仮眠を取るにしても時間がない。寝過ごしてもまずいし(けっきょく、1時間だけ寝たけど)。
 と、いうことで町を散策。富山市の総曲輪(そうがわ)界隈。アーケードに入ると、清明堂書店がある。ここは、昔からある本屋さんだそうで(開業は明治21年!)、店の奥に岩波書店コーナーがあった。クラシカルなたたずまい。通路も広め。よそ者が言うことじゃないが、時間の堆積を感じます。
 紀伊國屋書店富山店は、総曲輪フェリオという建物の7階にあるのだけれど、ひ、広い! 1フロアなんだけど、それが果てしなく広がっている。調べたら、970坪だって! 新宿の本店の、1階から8階の棚を全部1つの階に集めたらこんな感じじゃないかしらん(いやこれはだいぶ大げさに言いました)。
 ここができた時の、地元の本屋さんの打撃は、察して余りある。しかし、本の好きな人は、ゼッタイ歓迎しましたよね、これ。だって、ワクワクしますもん。解き放たれた小僧になれますもん。ミもフタもない言い方になりますが、広さは、チカラです。自由でもある。紀伊國屋書店の誘致は、20年来の悲願、という内容のブログを見たことがあります。


 やはり総曲輪界隈にある古本ブックエンドは2階建ての古本屋で、この店を乱暴に一言で要約しまうなら、「70年代」かなと思います。1970年代がここにある。むろん、もっと古い本ももっと新しい本もあるけれど、柱は70年代の本。8冊くらい、買ってしまった(実は一箱古本市で買った本よりブックエンドで買ったほうが多い)。ポール・ウィリアムズの『アウトロー・ブルース』は室矢憲治訳、晶文社の本で、出たのが72年。これは東京でもほとんど見ないなあ。『唄が旅から帰った時 ―全国ライヴハウス街図―』(田川律、大塚まさじ、糸川燿史著)は大阪の有文社という版元(今はもうないだろう)の本で、76年。これは初めて見た。エッセイと写真集と全国のライヴハウスのガイドを1冊にまとめた不思議な作りの本で、フォークソングの匂いが濃厚にする1冊。片岡義男『ブックストアで待ち合わせ』は文庫本を実は2冊持っているのだけどこれは単行本で、ヨコ長の版型、写真も豊富で、カバー装画が、鈴木英人。この人は、山下達郎のアルバム『FOR YOU』のジャケがあまりに有名で、この本は83年。ザ・80年代という空気感。


 実をいうと、去年の暮れに出した自分の本のタイトル『わたしのブックストア』は、『ブックストアで待ち合わせ』から言葉をいただいたようなところがあり、今回のトークショーもその関連で呼んでいただいた経緯もあったから、トークの前にこれを見つけることができたのは、神様の思し召しか、あるいはブックエンドさんがわざと棚に挿しておいてくれたのだと、超拡大解釈しています。


 知らない町の午後の時間を、1人でブラブラ歩くのは昔から何よりも好きで、「昼下がり」という美しい言葉は、そんな時間のためにあると思う。道を行くあのご婦人も、サラリーマンも、中学生たちも、ぜったいに人にはいえない秘密を持っている。そういうものを巧妙に隠したり、やり過ごしたりしながら、なんとなくバランスを取りながら、どうにかこうにか日常が成立している。アーケードは、向こう側とこちら側の通りをつないでいるだけじゃなくて、それは「いま」と「昔」もつないでいる。こういう所にいると、1人ぼっちなのは自分だけじゃないな、ってことがわかる。集団で自転車で走り抜けていった中学生たちも、明日は1人でだらしなく蛇行しながら、つまらないことばかり考えて屈託しながら、1人で通るには広すぎるこのアーケードを抜けていくだろう。


 と、いったふうな、白昼夢めいた時間に身を委ねているうちに17時になり、さあ、現実に戻ります。


 トークのタイトルは、「本をつくること、本屋を作ること」。新刊『本屋図鑑』の上梓を間近に控えた夏葉社の島田潤一郎さんと2人の掛け合い。お互い、「本屋」に関する近刊に係わってきたことと、一緒に『冬の本』を作った間柄でもあるので、それでコンビで呼んでくださった、という次第。いっしょうけんめい、話したつもりで、島田さんとは東京の西荻ブックマークでも話をしたけれど、それとは内容がかぶらないようにし、『本屋図鑑』の取材で全国をまわって感じた実感、エピソードを中心に島田さんが話し、ぼくは主に古本屋さんの話。「マジメに話す」と決めていたので(あたりまえですけど)、皆さん真剣に聞いてくださって、「ああ、空気が張り詰めていてちょっと怖い」と思ってバカ話を挟むとそこでは温かく笑ってくださって、助かったなあ。


 トークの第2部は、オヨヨ書林の山崎有邦さん(金沢)、徒然舎の廣瀬由布さん(岐阜)、町家古本はんのきと古書ダンデライオンの中村明裕さん(京都)と、それぞれの地域で今まさに古書店を営んでいる皆さんに参加してもらい、5人で書店談義。最年長だから(?)というわけでもないけどぼくはもっぱら2部は司会進行役になり、でもそこは1部とは違って、「もうちょっとあの人にしゃべらそう」「この話はもっと膨らまして」などと、ある程度舵取りしながら進めていくのは楽しかったです。


 打ち上げが総勢30人くらいいて、ほとんど名前を憶えられなかった(!)けど、忘れられないのは、たまたま向かいに座った若い夫婦。男性のほうが「富山市で古本屋をやりたい」と言い、オヨヨさんが「やめたほうがいいですよ」とアッサリ。いかに客が来ないか、商売にならないか、という現実の話。「金沢ならまだ…… 競争相手の店もここより多くなりますが」という話。でも、もともとは富山の人間ではなく、しかし結婚して妻の実家がある富山市で生きていくことに決めたので、あくまでここで、ここの本好きの人に必要とされる店をやりたい、ブックエンドさん以外にもあっていいでしょう? という男性。
 お隣に座っている奥さんがすごく無口な人で、それは余計な口出しをしない、ということなのかもともとそういう人なのか、ずっと顔がこわばって下を向いていて、それが胸に痛くて……


 がんばってくださいねとか、こうしたらいいですよみたいなことを言わないオヨヨさんもとても良くて。けっこう速いペースで、手酌で徳利の日本酒を空けていて、その右手と左手の動きがなめらかで、こういう時は下戸がヘタに酌しないほうがいいよね、サマになってるね、と思いながら眺めるばかりで。
 でも、本とぜんぜん関係のない冗談を言ったら、その奥さんもアハハと笑ってくれて、オヨヨさんもヘヘヘと笑って、ダンナのほうは声を出さないで、でも顔で笑って、ああ、よかった。みんなして笑ったのなら、まあ、いいんじゃない。


 2次会の席になって人数が半分以下になって(そのご夫婦は帰っていった。帰りがけにわざわざ「きょうはいろいろありがとうございました」とご挨拶されて。ぼくは基本、感傷的な人間なのであなたたちにまた会いたいです)、その頃には開いている店もだいぶ少なくなっていて、それでもイタリアンの店に入って。


 そこで、きょうが島田さんの誕生日だったことがわかって、みんなで乾杯! あと、もちろんいっぱい、いろいろな話をしたのだけれど、ずっと思っていたのは「どうしてみんな、こんなに親切なの?」ってことでした。


 本を回すとか、回転を早くして、とか、そんなのは東京の古本屋の話で、富山じゃ、回るも何もないですよ、とオヨヨさん。ほんとなんだろうな、と思った。それは、自嘲ではない。古本ブックエンドは間違いなくピカ一の店だけれど、そんなに本が目まぐるしく回転してる、ってことはないだろう。
 地方の古本屋さんに掘り出し物が、って時代は基本的に終わっていて、いま、全国のどの町よりも東京の中央線沿線が安くて品揃えが良いのは確実で、そういう場所に住んでいる人間がたまに地方に行って……
 列車のチケットも宿の手配もギャランティも全部していただいて、それでたった1日でまた東京に戻って、「いやー、富山、良かったですわ」なんて、どのクチが言うか! って思うけど、でも、この、自分の口で、そう言ったとしてもほんとにぜんぜん嘘ではなくて、だから、言ってみようかな。


 富山、すごい良かったです!


 ホテルの部屋に戻ったら、さっきまであんなにたくさん人がいたのに、今こんな見知らぬ部屋で1人ぽっちとはどういう了見だ? って感じで胸の辺りが囁いていて、でも、その周りの、胸を包み込んでいるからだの全体の、奥のほうから「そういえば昨日寝てませんでした」って声が聞こえてきて、気がついたらヨダレたらして寝てました。最初、涙かと思ったけど、あれは「ヨ」のほうだったと思う。


 仕事が溜まっていたので翌日は早く帰らなくちゃいけなかったのだけど、せめて午前中はまだ富山にいたいな、と思い(超多忙の島田さんは、朝7時の電車で帰っていった)、ブラブラしながら、「どこかステキな喫茶店を教えてください」とツイッターに書きこんだら、すぐに、「Koffe」と「たかなわ」という2軒を教えてくれた人がいて(うち、Koffeは開店前の時間で開いていなかった)、そこに向かおうとしていたら、これから店に行くところだという石橋さんとバッタリ! 自分も早起きしてしまったので時間があります、という石橋さんと一緒に、教えてもらった喫茶店のうち「たかなわ」に。石橋さんは後日、「前日は人がたくさんいてゆっくり話せなかったので、翌日にバッタリお会いできたのは、思わぬボーナストラックみたいでよかったです」とメールに書いてくださった。ボーナストラックみたい、っていい表現でしょ?


 奥の席に座ったら、「そこは先日、高倉健さんがお座りになった席ですよ」なんてマスターに言われて。なるほど。健さんが朝、そっと立ち寄るのにふさわしい店だし、ふさわしい席だったな。


 Koffeがまだ開いていなくて、たかなわ、に行くまでの、松川沿いの遊歩道は桜並木だそうで、「花見の季節はすごくキレイですよ。遊覧船も通るんです」と石橋さん。遊覧船、イイですね。そんなに広い川じゃないけど、だから余計、サクラも身近に見られるだろうし、そうか、春か。春の富山か。


 植物に疎くて、木にも疎くて、ヘタしたらサクラとケヤキの区別もつかないかもしれない(!)自分は、もし1人でこの遊歩道を歩いていたら、「これ、何の木かな?」ってことすら、考えないかもしれない。だから、ここで石橋さんとバッタリ会ったのもやっぱり思し召しで、梅雨の晴れ間のボーナストラック。
 咲いてなくてもサクラはサクラで、そのことを知っている人と歩いているからこそ、自分もそのことを知って、「そうなんだ」と思って、歩いているわけです。見えない遊覧船を思いながら。


 なんかこう、もっと、リポートっぽいカチッとしたのを書くつもりだったんだけど、グダグダになってしまった!


 とりあえず夏の甲子園では、富山県代表の高校を応援するくらいには、いま、富山が好きです。




【注☆】一箱古本市
プロ、アマ問わず、自分が売りたい本を段ボール一箱分ほどの量にまとめ、出店するフリーマーケット。東京の不忍通りが発祥の地で、いまや全国の古本イベントのスタンダード・スタイルになっている。
 



北條一浩(ほうじょう・かずひろ)
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1962年生まれ。ライター、編集者。2012年12月に、編集した『冬の本』(夏葉社)と自著『わたしのブックストア』(アスペクト)を出しました。「サンデー毎日」「本の雑誌」等で執筆。ブログも時々(http://d.hatena.ne.jp/redballoon/)。ツイッターは @akaifusen
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・イベント情報・
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◎──イベント


【高円寺】
●手ぬぐい展 2013 1枚の布からはじまる物語
8月4日(日)〜9月1日(日)
*期間中無休
会場:茶房 高円寺書林
http://kouenjishorin.jugem.jp/?eid=2131

▽お楽しみイベント
◎8月4日(日)14:00〜
オープニンイベント「手ぬぐい屋の物語」
にじゆらの矢地さん×星燈社山本さんトーク&お茶会
参加費:500円(1ドリンク&ちいさなおみやげ付き)

◎8月10日(土)14:00〜
「手ぬぐいお茶会!」
「手ぬぐいのススメ」のすみまきさん主催、作家さんを交えて手ぬぐいトーク&交換会
参加費:2,000円(詳細は下記サイトをご確認ください)

◎8月11日(日)14:00〜
「Ali'sさんのワークショップ」 
オリジナルスタンプで作る手ぬぐいハンカチ・ワークショップ。
参加費:1,800円(1ドリンク付き、詳細は下記サイトをご確認ください)

*イベント参加希望者はメールまたは電話で申込み。
E-MAIL:sabo.kouenjishorin@gmail.com
TEL:03-6768-2412

【東京】
●2013年夏 世界をみよう! 同時開催「本の楽市」
──デンマーク・ロシア・日本の作品を上映するちいさな演劇フェスティバル「世界を見よう!」にあわせて絵本、アート本を中心に古本屋大集合!
開催中〜21日(日)11:00〜18:00頃まで
*16日(火)のみ休業
会場:杉並芸術会館「座・高円寺」エントランスホール
http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=864


◎──アート


【東京】
●森美術館
六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展
LOVE展:アートに見る愛のかたち──シャガールから草間彌生、初音ミクまで
開催中〜9月1日(日)
http://www.mori.art.museum/contents/love/about/index.html

●東京都現代美術館
フランシス・アリス展 第2期:GIBRALTAR FOCUS ジブラルタル海峡編
開催中〜9月8日(日)
http://www.mot-art-museum.jp/alys/outline

●東京都美術館
ルーヴル美術館展──地中海 四千年のものがたり
7月20日(土)〜9月23日(月・祝)
http://louvre2013.jp/

●Bunkamuraザ・ミュージアム
レオ・レオニ 絵本のしごと
開催中〜8月4日(日)
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/13_lionni.html

【広島】
●ひろしま美術館
アート・アーチ・ひろしま2013
イサム・ノグチ──その創造の源流
7月20日(土)〜10月14日(月・祝)
http://www.hiroshima-museum.jp/


◎──映画


【神保町】
●岩波ホール
「ひろしま──石内都・遺されたものたち」リンダ・ホーグランド監督
http://www.thingsleftbehind.jp/
「ヒロシマナガサキ」スティーヴン・オカザキ監督・編集・製作
http://www.zaziefilms.com/hiroshimanagasaki/
7月20日(土)〜8月16日(金)


◎──企画展


【東京】
●日本出版クラブ会館
東日本大震災 3.11以降の全出版記録「本の力」展
日本出版クラブ創設60周年、キハラ株式会社創業100周年
8月1日(木)〜11日(日)
http://www.shuppan-club.jp/
*展示情報はまだアップされていません。

●板橋区立美術館
2013イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
開催中〜8月11日(日)
http://www.itabashiartmuseum.jp/art/schedule/now.html

●練馬区立美術館
鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い
──19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート
開催中〜9月8日(日)
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/modernparis2013.html

【神奈川】
●神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
野中ユリ展──美しい本とともに
開催中〜9月1日(日)
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/exhibition_annex/yuri/yuri/index.html#detail




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・編集後記・
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 北條編集長がやたら忙しいので(確か、今日は京都へ行ってるみたい)、編集後記を渡邉が代わって書きます。

 「ラグーナ(干潟)という場所」、読んでいかがですか? 面白い出版社ですよね〜。出版に関わっている人間として、この仕事の可能性を、あらためて感じました。と同時に精神病のしんどさも受けとめ……。短期連載ですので、次号もあります。精神病のこと、もう少し考えていきましょう。

 それから「自家発電」関連の原稿。官邸前の人の数は減っているそうですが、脱原発の動きは様々な場所でもちろん続いています。その動きの伝えあいのひとつとして読んでいただければ。

 北條の連載「ツキイチジャーナル」は、イベント・レポートではなく、イベント日の様々を描写したテクスト。
 手前味噌になってしまいますが、昨年の9月に出したメルマガ vol. 008で、私は海の家でのイベント(夏葉社の島田潤一郎さんと、編集部の大西とのプルーストをテーマにした海辺対談)の一日を描いたテクストを書きました。これもイベント日の流れと細部を描写していくものでした。
 この種の文章を、コンサートや結婚式を群像劇として、それも少々脱力気味に描くのが得意な映画監督、ロバート・アルトマンに因んで、「アルトマン・スタイルの文章」と呼ぼうかな。このメールマガジンで、アルトマン・スタイルの分野をしっかり開拓したい。そんなことを思ってしまった今号です(編集長が留守の間に勝手に考えてしまった)。

 では、また次号でお会いしましょう。次号は、真夏のさなか編集長が後記をしっかり書いているはずです。
 
 高円寺電子書林
 渡邉裕之




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●編集 : 北條一浩 渡邉裕之 高田雅子
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