スガ
やー、困ったねぇ。なんだかアホみたいなことに。
寿太郎
動けずイスタンブール。
スガ
カメラを直すためにわざわざモロッコから飛んできたのに。修理に出そうとしたら彼、またがぜん元気になりまして。
寿太郎
わざとやってるのか、というレベルだね。カメラに馬鹿にされてますよ。
スガ
トルコ技師にも「ノープロブレム」って返されちゃうし。
モロッコでは毎日のように動かなくなっていたのに。
まったくひねくれてるよ。こんな子に育てた覚えはないのに。
寿太郎
子は親に似るというからね、とたぶん多くの人に思われるでしょうね。
スガ
Twitterでぼやいてたらすでにそんなお返事をいくつもいただいて。まったく心外です!
寿太郎
というわけで、再びのイスタンブルなわけですが。前回のイスタンブルとはずいぶん違う地域に来ましたね。
スガ
あ、そうね。
イスタンブールの表参道? もうちょっとカジュアルに渋谷かな。
寿太郎
新市街のあたり。めちゃくちゃツーリスティックな旧市街と違って、もうちょっとローカル的にオシャレな感じの場所ですね。
スガ
怪しい日本語で話しかけてくる客引きにまだ一度も? 会っていないもんね。イスタンブールの若者が沢山いるかんじ。夜歩いてるとクラブから音楽が漏れ聴こえてくる。
寿太郎
怪しい日本語聞かないね。革製品も観光ツアーも絨毯も売られないし、とても過ごしやすいね。安くてフレンドリーなロカンタもあるし。いい場所です。
スガ
このへんにいると、声かけられることもなく、ごくふつうに過ごせる感じ。ロカンタがあるのは大きいけど、そういう意味ではヨーロッパに近いかもしれない。
寿太郎
そうだね。前のとこはもっとアジア的なしつこい客引きが多かった。一応前のとこもこちらも、ボスフォラス海峡のヨーロッパ側ではあるんだけどね。地理的には。
スガ
で、そのBiotopeJournalヨーロッパ編も、まぁあちこち抜けてるけど今週でいったん終わり。今週はドイツ、オランダ、スペインの「人と空間」だったわけだけど。
寿太郎
そうですね。ちょっと飛び飛び、イタリアとかフランスとか抜けてますけど、まあとにかく西欧ですね。
スガ
ドイツでシュナイダーTMを紹介してくれた小塚さんが寄稿してくれたり。
シュピネライをすすめてくれた「日本の家」の大谷さんのインタビューがあったり。
寿太郎
そうそう。そう考えると、日本人ゲストの豊富な週だったね。それぞれに興味深い話がありました。
スガ
そうそう。久しぶりに日本人ゲストが多い。
小塚さんはこのメルマガでもレポートしているわけだけど、ほんとうに、びっくりしたね。
こんな人がいるのか! と。
寿太郎
色んな意味で衝撃的な人物だった。今までに様々なことをやってきていて、その話をしてくれるんだけど、それらを一人の人間の物語の上に位置づけることが難しいぐらいバラエティに富んでいる。わかりやすい文脈というのがなかった。
スガ
ええと、コントラバスと龍笛とビデオ屋の店主とプログラマーと俳優と…あと寿司と陶芸?
自分でも、100の顔を持つ男とか言ってたっけ。
寿太郎
いや、100の特技を持つ男。なんだっけ、男にはたくさん特技がなければならない、みたいなそんな話をされてたように思う。
スガ
あーそうか。すごいなぁ…。
寿太郎
そういう感じですよね。凄いんだけど、ポカーンとしてしまう。
スガ
小塚さんと会ってる時に笑いすぎて驚きすぎて、宿に帰ったらクラクラしたもんね。
寿太郎
そうだね。そういえば寿司がうまかった。そう、SUSHIレポートの回の最後のほうで触れた、唯一まともだった寿司屋というのは、あれ小塚さんと一緒に行ったんだよね。
スガ
ああそうそう。寿司食べながらビール飲んでたらだんだん饒舌になってきてね。なんかおかしな話がたくさん出てきた。
会う前はそれこそWikipediaで知ったじゃがたらの江戸アケミとつながりがあるだとか、オルケストラ・デル・ビエントで活動してたとかいう情報だけだったから、なにかストイックでおっかない感じの人だと想像していたんだけど…。
会ってみるとこれが、思っていたのとはぜんぜん違う方向にぶっ飛んだ方で。
寿太郎
うん。はっきり言って今回の本文でも、小塚さんの人物像のほんの一部分しか表現できなかった。というより、ちょっとお会いしただけの我々には想像もつかないような衝撃エピソードがまだいくつもあるように思う。
スガ
うん、それに「興味を持ったら身をおいてみる」という小塚さんの信条だけど。それもなかなかすごいフットワークの軽さだよ。じっさい、Biotope Journalへの寄稿も寿司屋で酒の勢いで出たような話だったのに、本当にやってくれたしね。
寿太郎
やるといったら恐ろしい速度および熱量、勢いで原稿をあげてくれた。そして小塚さんには何の責任もないけれど、英訳のむまさんに多大なご苦労をかけることになった。
スガ
いやーほんとうに今週英訳してくれたむまさんは、ほんとうに大変だったと思います。小塚さんの大ボリューム原稿はあるし、アムステルダムのセックス原稿はあるしで。
寿太郎
毎度ご負担かけます。ありがとうございます。
あと今回は、京都時代からの知り合いの小山さんに西部講堂について寄稿してもらいました。ありがとうございます。
スガ
あー、そうでした。コンパクトに要点のまとまった原稿だったね。
ぼくぜんぜん西部講堂知らなかったけど、東の日比谷野音、西の西部講堂、て出てきてへえー、と。
寿太郎
うん。西部講堂の何が特殊で面白いのかということは、あの原稿からある程度想像してもらえると思う。僕なんかも京大にいた時分から毎日あそこの前を通ってたわけだけど、まさかBiotope Journalで取り上げるとは思っていなかった。なんだか感慨深いです。
京都に観光に行かれる際には、京都中にまだ色々と残っているああいう感じのところに、ぜひ。しょうもなく観光地化されたところよりも、よっぽど面白いですよ。
スガ
京都とかもう10年くらい行っていないけど、「ああいいう感じ」というのは、京都には多いんですか。
寿太郎
「京都磔磔」みたいな酒蔵を改造したライブハウスとかねー。あとちょっと方向性は変わるけど、書店も。まあ何がどう「ああいう感じ」なのかわからないけど、「恵文社」とか「ガケ書房」とか、面白いとこが多いです。ちなみに恵文社の近くはおいしいラーメン屋が多いです。ああラーメン食いてえ。
スガ
あーそのあたりの書店。お噂はかねがね…というかんじだけど、実はいまだに行ったことはないんだな。
最後にラーメン食べたのはドイツだっけ。うまかった。
ところでヨーロッパ滞在中、ポーランドくらいからアムステルダムに抜けるまで、ずーっと暗かったじゃない。毎日くもりか雪で。
寿太郎
はいはい。
スガ
太陽なんてほんとうにアムステルダムで数ヶ月見なくて。
ヨーロッパの冬ってこんななのかと思っていたんだけど、少なくともドイツでは、今年は過去60年間で日照時間が一番少ない年だったとか。
寿太郎
へええ、なるほど。あれが普通というわけでもないんだね。
スガ
うん…そう、この間どこかでそういうニュースを観たんだけど、あれ、ソースがちょっと見つからない。
寿太郎
まあとにかく、そうだったわけだ。
スガ
そう。太陽拝めなかったのは、そのせいもあるかもしれないので、皆さんもぜひ冬のヨーロッパにチャレンジしてください、と。天気悪いかわりに安いしね。
まぁそれにしても、アムステルダム、スペインに出たらさすがに安心したね。
寿太郎
まあ旅行記の通り、スペインでも雨は降ってたけどね。
スガ
あ、そうね。スペインも雨降ってたけど。
本格的に毎日晴れるのはこのあとモロッコ。砂漠の国なだけあってさすがに、光がすごかった。
寿太郎
うん。モロッコについてはまた次回以降にということで、はい。今週のお便り。
スガ
えーとはい。今週は、東京都にお住まいの、上からマリコさまより、エアメールを頂戴しました。
「生きてる? 洗濯とか、ちゃんとしてるの?」
とのことです。
寿太郎
(笑) いつもありがとうございます。ご無沙汰しております。
アザーン(近所のモスクより)
アーアーアアアーアーアーアアーアー・・・・・
スガ
きましたよアザーン!
今回はいつもより気合入っているようです。
寿太郎
トルコのアザーンは非常に情緒豊かに音階を上から下まで行ったり来たりするから、いいよね。好きです。あと間の取り方がいい。お経っぽくなくて、音楽っぽいんだ。
スガ
歌いあげる感じだね。ええとそれで、まぁ生きているのはご覧のとおりなんですけど。
洗濯ね。
寿太郎
場合によっては厄介な問題だよね。
スガ
今までそんなに厄介だったことあったっけ。
寿太郎
宿に洗濯機とかが無いとね。まあ手洗いして干せばいいという話なんだけど。でも我々は時間がないとかの問題もあって、けっこうそういう場合はランドリーサービスを使ってしまってますね。
スガ
ランドリーサービスとかもう、じゃぶじゃぶ使うよ。
値段は街によってまちまちだけど、コインランドリーに行くこともあるし、クリーニング屋みたいなところが水洗いも頼める場合もあるし。
寿太郎
今後アフリカとかになってくるとそうもいかないケースが増えそうなので、手洗いして干してという方向でやっていこうと思ってるとこです。
スガ
いやでもさ、宿のおばちゃんが洗濯してくれる場合とかもあるじゃない。
面白かったのはモロッコで、川で洗濯してくれる女性がぼくの分までやってくれてしまうこともありました。隣でちょっと洗おうと思っていたのにもう服を取り上げられて、あれよあれよという間に洗われてました。
寿太郎
出たな洗濯ババア。そしてあれよあれよという間に代金をとられるわけだ。
スガ
とは言ってもそういう場合、すごく安いからね。
川で洗濯してもらったのとか、ぜんぶで50円くらい。
寿太郎
まあ川だしね。あと我々の場合、例の記念撮影のための正装というのが無駄にあってそのへん厄介ですね。シャツとか。
スガ
そうそう。
白シャツは袖口とかどうしてもシミが目立ってしまうからね。
寿太郎
そうですね。また来週。