スガ
おいおい、今日は寒いよ。
寿太郎
昨日は暑かったのにね。暖かくなってきたとはいえ、まだ日照の具合にかなり左右されますね。
スガ
今日は東京もすごく寒いみたいで、Twitterでは、ピクニックしようと思ってた人が悲嘆にくれているのを目にしました。
寿太郎
気の毒に。東京とモロッコは緯度同じぐらいなんですよね。だから割と同じような感覚かも。桜はこっちにはないけれどね。
スガ
桜はないかわりに砂漠とヤシの木とオレンジジュース。再来週からはBiotope Journalもアフリカ入り。いよいよヨーロッパも大詰めですよ。
寿太郎
そうだね。最後のほうはビザの問題があったから、ドイツにいたかと思ったらあっという間に西のほうに移動してしまった。
スガ
オランダなんて2日だけだったし、ベルギー、フランスはとばしちゃってるしね。あとポルトガルも。いくつかの国は戻れるかもしれないけど。
寿太郎
イタリアだとかも飛ばした形になってるね。ギリシャとか、地中海近辺。
スガ
南欧北欧ほとんどノータッチで、西欧もかなりかたよってるし。まぁでも難しかったなぁ。取材しながら3ヶ月で全部回るのは。
寿太郎
ダメですよシェンゲン協定。不便きわまりないね。
スガ
でもシェンゲン協定できる前はヨーロッパも個別にビザ取る必要があったんだよね?
寿太郎
いや、ビザなしで入れた国も多かったからからさほど問題はないんじゃないかな。
一元化されちゃったから問題なんだよね。もっとも、東欧なんかは以前より入りやすくなったと聞くけど。
スガ
というわけでヨーロッパにもどれない間の3ヶ月弱のあいだにアフリカを南下するわけだけど、
今週はマドリードのアナ。マドリードは2人めですね。
寿太郎
うん。アルベルトとはずいぶん違う感じになったので、よかった。それに彼女は、たぶん初めて、その国の出身者ではないインタビュイーだね。ペルーからやってきたから。
スガ
スペインっ子のアルベルトと、ペルーからやってきたアナ。偶然だけど、けっこうコントラストがでたかたち。それでアナだけど…、なかなか強烈でしたわ。
寿太郎
どのへんが強烈に感じた?
スガ
まず、メイクw
寿太郎
ラテン系だからね。
スガ
あと、話のとめどなさ。一の質問すると10の答えが返ってきて、それがいつも彼女の内面的な話とか生き方の話に結びつくという…。
寿太郎
うん、話は確かにそんな感じ。今週の冒頭のあたりにも書いたけど、本当にどこまでもどこまでも喋るからね。それと同時に、とても意識的に自分のことをこちらに伝えようとしてくれていた。
スガ
これまでもう20以上のインタビューしてきたけど、あんなに自分の内面をさらけ出そうとしてくれる人はいなかったからね。
なんというか、自分で整理できていないところまで、整理できていないまま、見せてくれる。
でも逆に、だれでも仲良くなるとそういうところを見せてくれたりするものだから、彼女と話しているとちょっと、友だちの顔が浮かんだりするところはあったかな。
寿太郎
そういう意味でのフレンドリーさは凄かったですね。でも無神経なのではなくて、それどころかむしろとても神経が細かい人だった。
スガ
神経細かいんだけど、どこかしら自分をコントロールしきれていない感じがね。それが彼女の魅力だなと思ったな。ときどき感情とか衝動が迸るかんじ。
寿太郎
まさに。そういう危うい二面性が魅力的でした。本文の繰り返しになってしまうけれど。
スガ
彼女と学校で話していたら、次々に通りがかる友だちから声かかって、友達多いんだなぁ、と思ってたら、いがいと彼氏はネットで知り合ったとか言うしね。現実で知り合うとだいたいただの友だちにしか見てもらえないという話とか、ぐっときたな。
あれ、これ本文に書いてなかったよね?…あ、そうか脚注にあったか。
寿太郎
そう。面白い話だけど本文に組み込みにくくて、脚注にしました。
スガ
でも彼女を紹介してもらったときの最初の疑問。MBAのプログラムをとってるお笑い芸人の女の子、ってどういうことだよ、という謎は残ったよね。いやMBAは家業のためというのはわかったけど。彼女はこれからどこに向かうんだろう、というw
寿太郎
そんなのは彼女自身にもわからない感じだからね。そういうことへの悩みみたいなものも含めて語ってくれたので、とてもよかった。
個人的に彼女は、なんというか精神的な部分でとてもシンパシーを覚える人でした。軽々に言えないけれど、わかるわかる、ってとこが本当に多くあった。
スガ
それは言ってたね。ぼくはシンパシー覚えるところが半分と、なにかしんどそうだなぁという部分が半分。そういえば寿太郎くんに対してぼくが感じるものと、似ているかもしれない。
寿太郎
またお会いしてみたいです。あとスペイン語をちょっとはわかるようになって、彼女のコメディーが理解できるようになりたいねw
スガ
そうね。では今週のおたよりコーナー。
寿太郎
京都府の「円山公園の帝王」様よりエアメールをいただきました。
スガ
円山公園ていうのは札幌にあったけど、京都にもあるんですか。
寿太郎
札幌はなんか京都を基に作ってますよね、碁盤の目とかも。だから関係あるのかもしれませんね、よく知らないけど。はい、それで。
スガ
おーほんとだ。wikipediaによると「戦後、京都市にある円山公園をモデルに造成され」だって。知らなかった。ええとそれで。
寿太郎
「これからアフリカを南下していくということですが、危ない地域などはないのですか? 紛争状態の国も多くあるし、とても心配です」
とのことです。
スガ
この人はなにを心配しているんだろう。危ないに決まってるよね。アフリカだもの。
寿太郎
で、スガくんは具体的に何がどう危ないのかを全然把握してませんからね。
スガ
うん。具体的にどうとか、ほとんど分かってない。盗人が現れれば荷物が危なく、強盗が現れれば命も危ないということくらい。
寿太郎
まずアフリカだから危ないに決まってるというのが偏見だよね。ほとんど問題発言のレベル。現にここモロッコは全然危なくないじゃないですか。東南アジアのゆるい国々とかとあんまり変わらない。
スガ
そうそう。アフリカって言うだけでいまだにすぐ危ないとか言われるけどね。モロッコとか想像以上に安全で。暗黒大陸じゃがたらを期待してただけに、ちょっと拍子抜けしたくらいです。
寿太郎
アラブの春の影響が全然なかったのがこのモロッコだからね。なんでも国王の人望が強烈だとか。
それで、そのアラブの春の影響は確かにあって、たとえば少し前まではトルコからシリア経由でエジプト方面に向かっていくのが一般的なルートだったけど、今はシリアがあんな風だから入れなくなってしまった。
スガ
はいはい。シリアはあんなに平和でよい国だったのに残念だ、って旅人は口をそろえて言ってるよね。
寿太郎
なにしろホスピタリティが凄いと。人びとが本当に親切だという話はいろんなとこで聞きますね。
でも幸いだったのは、エジプトはふつうに旅行できる状況だということですね。今もデモなんかは起こるけれど、常識的な行動をしていればまず大丈夫だとか。
スガ
常識的な行動…。それはどういうことをすると危ないんだろう。
寿太郎
デモがあったり人が路上で集まっているようなところには近づかないとか、そういうことでしょう。あと常に情報収集を怠らない。
スガ
おっ、なんかやってる。ちょっと見てくるわ。
てのは死亡フラグなのか…。
寿太郎
そう。あとATMでお金を下ろしたあとなどに、裸の札が見える状態で堂々と財布にしまいながら歩いていくのはいい加減やめましょう。いつも気になっていたけれど。コソコソやってください。
スガ
あー、それね。旅の最初のうちは気をつけていたんだけど、もう完全に気がゆるんでおりまして。
そこでアフリカですよ。なにか予感に満ちてるね。
寿太郎
そろそろ旅慣れた感じになってきて危ないですからね。紛争とか抜きにしても、確かにケニアやタンザニアなどは都市部の治安は悪いみたい。あと悪名高い南アフリカもあります。ほんとに気を引き締めなおしていくべきとこですね。
スガ
そうですね。また来週。