スガ
大丈夫ですか。
寿太郎
まあ普通に、風邪ですねたぶん
スガ
アフリカに出て、ようやく寒空のヨーロッパが終わったというのに。まぁ思ったより寒いからね。
寿太郎
寒いせいかわからないけど。ちょっと気が抜けたのかな。風邪とかめったにひかないんですけどね日本では。
スガ
あんまりひどくならずに治ればいいけど。
お、よかったね、ストロングティーがくるってよ。
寿太郎
ありがたいことだ。
スガ
ええと、というわけで今日のアフタートークは病に臥せった寿太郎くんの様子をお届けします。
寿太郎
というか、とりあえずレポートは大丈夫だったのだけど旅行記とか力尽きた状態で書いたのでめちゃくちゃだと思います。言い訳するではありませんが、お詫び申し上げます。どーもゴメンネ。
スガ
ああ、ちょっとまとまりとか力強さには欠けてたかもしれない。いつになくへろへろな感じがちょっとおもしろかったよ。
寿太郎
そうだといいけど。
スガ
で、シュピネライのカーチャの工房だけど。
寿太郎
面白い場所でした。
スガ
インタビューの時間はそれほど取れなかったけど、そう。空間的には今まででも有数の面白さでした。
寿太郎
空間自体にすでに物語があったからね。かなり力強く。
ヨセフ
ジャパーンジャパーン! ハジメマシテー!
スガ
ほらきたぞお茶。
寿太郎
お茶うめえ
スガ
それはよかった。
で、シュピネライはね、ギャラリーとか工房がたくさんあるんだけど、全体としてはおしゃれな雰囲気というよりも、廃工場だからかどこかアナーキーで。
なんか高校とか大学のウラの方とか、部室棟とかの雰囲気に似てる感じ。ああいうのぼくは、すごくぐっときてしまう。
寿太郎
地下備ですよ、チカビ。
スガ
そうぼくたちの高校のね、地下備品準備室だっけ? あそこによく似てる。
寿太郎
地下備品倉庫です。
スガ
あそうか。
寿太郎
いいですよね、俺も好きだったああいう雰囲気。
スガ
で、カーチャのところも、なんかバリバリ工房という感じでもビシっとしたギャラリーという感じでもなくて生活感が感じられるところで。
空間の使い方がうまい感じだな、と思っていたら、放浪修行した時にみたいろんな工房からヒントを得たって聞いて、なるほどなぁと。
寿太郎
あれだけ巨大な機械がぼんぼん置いてあっても、窮屈な感じが不思議としなかったですね
スガ
そうそう。モノが多いのに、開放感をそこなってない。
ていうか旅をしながら職人の修行って、すごすぎる。ヴァルツ。
寿太郎
我々も旅をしながら仕事してるけど、比較にならないぐらい大変そうだ。しかも3年間も。
彼女はウズベキスタンのタシケントから陸路と船でドイツまで戻ってくるという旅をしたんだけど、ちょうど我々が通れなかったところを通ってんですよね。そのへん面白い。
スガ
ドイツ国内ならまだしも話も通じるのかもしれないけど、中央アジアでドイツの職人制度のことなんて、知らない人のほうが多いだろうからね。各地で働かせてもらう、というのはなかなかすごいよ。持ち物も、下着の枚数とかまで決まっているとかいう話も見たし。
寿太郎
まさに修行の旅だ。
スガ
ちょっと想像を絶する世界。ぼくたちもあちこちで人に会って話を聞いたり仕事しているわけで、自分たちのやってることと少し重なるぶん、惹かれもするけど。
寿太郎
なかなかできませんね。風邪とかひくだろうしね
スガ
これからアフリカ縦断だからね。飯のうまいモロッコにいるうちに、クスクスでも食べて体力を蓄えてくださいな。
寿太郎
そうですね。また来週。