スガ
やー、今週も日曜日の朝をベルリンで迎えることになりました。
寿太郎
忙しい一週間でしたね。全然晴れないし。
スガ
晴れないのは相変わらず。ここはワルシャワとは随分雰囲気違うし、ちょっと寒さマシな気もするけどね。
寿太郎
まあ、何もかもちょっとだけマシという感じかな。
スガ
何もかもちょっとだけマシw
寿太郎
煙草はマシじゃない。高い。円が安くなってるから、今ひと箱600円超えてますね。地獄だ
スガ
寿太郎くんは今朝も地獄。安定感あるねぇw
忙しいといえば、取材もだったけどカメラの故障が不穏な感じで。
寿太郎
必ずそういうのは、Facebookの写真撮ってるときに起こるんですよね。俺が撮影位置でボケッと立ってると、スガくんが「あれ? あれ?」となる
スガ
記念撮影してたらカメラの様子がおかしくて、シャッターが切れなくなった。あ、そうか。そういえば前にもそういうことあったね。
日本のメーカーとあれこれやり取りしてこっちでも通用する国際保証書送ってもらったりしたんだけど、ハンブルクの窓口行ったら、修理に出す間際に治ってしまったという…。窓口のおばちゃんには苦笑いするしかなかったね。
寿太郎
よくある話ですね。マーフィーの法則的にも、スガ的にも。まったく無為なハンブルク行だったわけだ。
スガ
たしかにぼく的にはありそうな話なんだけど、でも今回はふつうに故障気味っぽいから再発しなきゃいいんだけど。ところでマーフィーの法則てなんでしたっけ。
寿太郎
マーフィーの法則というのは、なんかありがちな(印象を受ける)法則のことで。たとえばバターを塗ったパンを誤って床に落としたら必ずバターの面が下になるとか。精密機械をいじってるときに誤って小さなネジを落としたら必ず一度足に当たってから跳ね返って机の下にもぐりこむとか。
だから、そのマーフィーの法則と、猫は高所から落とされても必ず足から着地するという習性を利用して、猫の背中にバターを塗ったパンをバターの面を上にしてくくりつけて上から落とせば、猫は永遠に地面に到達しないで宙に浮かぶという冗談がありますね、ほんとうにどうでもいい余談ですが。
スガ
なるほど自虐的悲観論。寿太郎くんを前に立たせて記念撮影の準備をしていると、カメラは壊れ、そして修理に出す前に治る、と。
寿太郎
きっと俺のせいですね。カメラに嫌われてるんですねきっと。
スガ
寿太郎くんはいつも斜め下のネガティブ加減、今でもときどきおどろきますw でもまぁ、実際のところは修理に出す間際に直ってくれて助かったんだけどね。修理したら最低2週間というし、他の国には送れないというし、ヨーロッパ滞在期限は迫っているし。
寿太郎
しかし動かなくなってた理由が不明ならいきなり直った理由も不明だから、なんだかすっきりしないものがありますね。アフリカあたりで再発しないといいのだけど。
スガ
そう、いつぶり返すかわからないあたりが不穏で。ただ確認してみたらアフリカは意外と修理窓口ある一方で、南米がコスタリカだけみたいでね。
寿太郎
なぜコスタリカなのか。ブラジル、アルゼンチン、どうしたんだ。
スガ
そう、全然ないんだよ。よくわからないけど。
寿太郎
たぶん、割と簡単に北米に郵送できるからなのかもしれないっすね。
スガ
そうなのかねぇ。まぁカメラがへそ曲げないように、ご機嫌伺いながら行くしかないと思ってますよ。ちょっと今回、装備が無事であることのありがたみが身にしみた、というか。
寿太郎
同時に三脚も壊れましたからね。まあ、そんなこともありバタバタした一週間でしたと。
スガ
あ、そうだ三脚も壊れたんだった。同時多発ガタ。
寿太郎
だいたい、ヴィオラの記事はかつてないほど「撮って出し」だからね。取材がつい先週。インタビューから帰った瞬間に記事まとめたのなんて初めてでした。
スガ
そうそう。
今ぼくたちがいるのがベルリンで、今週のヴィオラは先週いたワルシャワ。かつてないほど迫っている。
ただヴィオラの取材は、個人的にけっこう思い入れがあって。
彼女は忙しい人だし、メールの行き違いがあったり、家がわからなくてウロウロしたり、会えるまでにだいぶ苦労したけど。でもワルシャワでやりたいとぼんやりイメージしていた取材を、期待以上のかたちでさせてもらえたと思っているよ。ワークショップ見せてもらえたのもとてもおもしろかったし。
寿太郎
そうですね。そもそも、ものを作る系のひとの仕事場を見せてもらったのは初めてだったかも。ずいぶん協力的にいろんなものを見せてくれて、ほんとうに彼女は親切だった。あと恋人のパヴェウも。なんか妙なハイテンションだったけど
スガ
ものを作る人を取り上げるというのは、じつは Biotope Journal を考えた時に最初にイメージしてたことだったんだけど、やっとどうにかここに辿りつけた、というかんじ。
それでヴィオラだけど。彼女は親切というのもあるけど、インタビューでも言っていたように、なんというかナチュラルにオープンな人なんだよね、たぶん。未知のものとか知らないものが自分のなかに入ってくる体験をいつも求めている、というか。
寿太郎
話のなかで自分はオープンだ、ということを聞かせてもらうまでもなく、もう最初から我々に対する姿勢でオープンさを見せてくれてましたね。
スガ
うんそう、部屋の中どこでも撮っていいよ、という感じで。
寿太郎
実は俺は彼女の作風がけっこう好みで、彼女の作品、ふつうに欲しいです。今が日本に帰る直前なら買ってるとこ。だからお土産に陶器の小さなコースターくれたのは、嬉しかったなあ
スガ
うん彼女の作品はナチュラルであたたかいスタイリッシュさというか、いいよね。
ちょっと今ヴィオラたちのサイトとか紹介してくれたカフェのサイトとか確認してみたんだけど、海外への発送はやってるかちょっとわからないや。
ちょっとあとで確認してみて、もし彼女たちが海外発送していなくて、問い合わせが多かったら仲介販売でもしましょうかw
寿太郎
まったく何の業者なのかわからなくなってきましたが。まあ、でも余裕があればほんとうにやりたいぐらいいい品々ですよ。
スガ
というわけでお問い合わせ、お待ちしております。
では次に、今週のおたよりコーナー。
埼玉県在住、浦和大好きさんからエアメールをいただきました。ありがとうございます。
「旅行に行こうと思っても、行ってみたい場所が多すぎて困っています。退屈ロケットの行き先はどのように決めているのですか」
寿太郎
浦和が好きなんですか。レッズファンなんですかね。で、行き先と。
基本的には、一般的な西回り世界一周ルートを踏襲しています。特殊な点としては中央アジアを通ったこと、あとヨーロッパをやや細かく回っていることぐらいかな。
スガ
ほー。「一般的な西まわり世界一周ルート」というのはなんでしょうか。
寿太郎
西回りで世界一周しようとする貧乏旅行者の多くが通るルートのことです。何を説明しろというのか。
スガ
いや、ぼくは何が一般的なルートなのか全然知らないから。そういうルートはどこを見ればよいのですか。
寿太郎
世界一周みたいなことをしているブログなりサイトなりをググってみれば、だいたい似たようなコースなのがわかると思います。アジアを西進してトルコへ、そこを起点にヨーロッパに入ったり中東に入り、アフリカに行く人はエジプトを南進、タンザニアから西へ行って、ナミビアから南に行って南アフリカ。そのあと南北アメリカ、という感じです。
ただ、アジアを西へ行くときに多くの人は東南アジアやインドを通るのですが、僕らは中央アジアに行きたかったのでそれらは後回しということにしました。
スガ
なるほど。みんな似たようなルートになるのはなんでなんだろう。結局みんな情報が多いところを通るということ?
寿太郎
交通インフラとか効率的に、やはりこのルートがいちばん良いということで収束していくんでしょうね。ネット上で情報も多いし、そういう意味でお手軽に旅行できるということかもしれない。
ま、みんながそういう風に同じようになっていくと、つまらないですけどね。
よく、一度会った旅人にまた偶然再会して「これは旅人の運命!」とか言ってるブログなりがあるけれど、そんなもん同じような情報を参考に同じようなルート辿って同じような宿泊まってるわけだから、運命でもなんでもないですねw ま、再会はうれしいものだけど。
スガ
あぁ、それはよく言ってるねw
でもさ実際のところ、どこかに行ってみたいという気持ちって、何かしらの情報なりイメージなりから出発するからね。なにも知らない状態で行きたいと思うことはない。
だから情報が多いところに人が集まるというのは、当然といえば当然で、情報がないところにはみんな行ってみたいとも思わないわけだ。なんという格差世界だろう。
寿太郎
情報がないところにこそ行ってみたい、という種の人も世の中にはいますよ。そういう人が徐々に開拓して、情報を広げていくんだと思いますね。旅というのは本来そういう点が醍醐味だと僕なんかは思います
ま、もちろん最低限の基本情報はないと危ないから、そういうのは集めて行くべきだけど。
ひと昔前は、色々な宿にある「情報ノート」というのが重要だったんですよ。それを求めて、みんな同じ宿に集まるわけ。バックパッカーどうしの互助的な草の根システムで、近隣の見どころだとか交通機関の情報だとかビザ情報だとかレストランだとか、そういう情報をみんなが宿のノートに書き付けていくんですよ。で、後から来た人が参考にしたり、更新したりする。
インターネットがないとそういう生の情報は集めようがないから、それのある宿は重宝していた。でも今は、インターネットでいくらでも情報が集まりますよね。だからこそ皆、他の人の経験にとらわれず新しい場所を開拓していけるといいのだけど、むしろインターネットの情報を忠実になぞるみたいになって、なんだか逆に不自由に、保守化していっている人が多い印象。
スガ
インターネットは情報の多寡を可視化してしまうからね。
「旅の醍醐味」としてはきみの言ってることはよくわかるけど。でもけっきょく、僕たちも含めて多くの人が情報の多い方に流れていってしまうというのは、面白いなぁ。
寿太郎
ただそうはいっても、僕らの場合はインタビューなりやることが多くて、旅そのもので冒険してる余裕がないから、わりとスタンダードなルートになってると。ちょっとそのへんは残念です。正直面白みに欠ける。
スガ
冒険ね。がんばって余裕つくって冒険しましょうか。
寿太郎
そうですね。また来週。